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能力値はあげられるが、底上げはできない

……あれ、ここは僕が寝てた場所だ。さっきドアの前に居たはずなんだけど。

「あら知亜君、もう起きたの?早起きねぇ。優さんに見習わせたいわ。」

知亜が客間から出ると、そこには淡いピンク色のエプロンを着けて、朝食の準備をしている春子がいた。

「おはようございます。……あの、僕トイレに行って用を済ませてどこかのドアの前で春子さんに会った気が……」

「何言ってるの、知亜君。そんなわけないじゃない。だって私が起きて客間を覗いたら知亜君、ぐっすりと眠っていたわよ。まだ、夢でも見てるのかな?」

春子は笑いながら言った。知亜の方を一回も見ることなく。

「そう、ですか。……んーでも、なんか生々しいというか今さっきの事のように思えるんですけど…。」

知亜は、はっきりしない口調だった。確かに、夢と言われればそうかもしれないが、どうにも腑に落ちないとそんな顔を知亜はしていた。

「もう、早く顔を洗ってしゃきっとしてきなさい。」

春子にそう言われて、きっと夢だと知亜は決めつけ洗面所へ行った。

「……ふぅ、危なかった。あの部屋を見られた、私たちは……」

春子のそんな呟きを、知亜は知らない。



「ふわぁーっ、んーおはよう。」

次に起きてきたのは、青と白のストライプ柄のパジャマを着た優だった。頭はぼさぼさ……にはならず、少しだけ寝癖がついている。

「あれ、知亜君もう起きているのか。早いなぁ、やっぱり慣れない場所だとあまり眠れないか。」

優は、知亜の早起きに感心していた。

「……優さん、いつも言ってますよね。朝起きたらリビングに来る前に、その頭をどうにかしてきてくださいと。いつになったら、その毎朝ついている寝癖は直るのやら…。」

朝一で、コンプレックスに触れられた優は、うなだれながらリビングから出ていった。

「ごめんね知亜君、朝から変なモノ見せちゃって。もう少しで、ご飯出来るから待っててね。」

春子は、知亜を気遣いながら朝食の準備を進めていた。そんな、2人のやりとりを見ていた知亜は、朝から元気だなと思っていた。

「ふぅ、さっぱりした。やっぱり朝は、歯磨きをしなきゃ目覚めないよ。特にこの『超クールミント!!これでお口と頭をリフレッシュ!!』が謳い文句のハイムーン社特製の歯磨き粉は良いね。」

洗面所から戻ってきた優は、さっぱりとした表情で戻ってきてそんな事を言っていた。ハイムーン社とは、全国民が認知する企業名で国民からは絶対的な信頼を得ている。そもそもハイムーン社は、医薬品の分野に突出していたが、医薬品業界の競争が激しくなり、様々な分野に手を出しているうちに数多くのヒット商品を生み出した事によって消費者からの評価を得て成長した企業だ。もはや、ムーンライトという社名はブランド化していて、老若男女を問わず認知されている。

「はいはい、分かりましたから桃香を起こしてきてください。そろそろ朝ごはんができますから。」

春子はうんざりした顔で、優に桃香を起こしてくるよう頼んだ。優は了解と言って、桃香を起こしに向かった。

「さてと。知亜君、悪いんだけどテーブルに料理を並べるの手伝ってくれないかな?」

春子は、知亜に手伝いを頼んでいた。春子のお願いを聞いて、知亜はわかりましたと返事をしながら春子の元へと向かった。

……朝ご飯って、これなのかな?卵焼き、シーザーサラダ、味噌汁、白いご飯にお漬物。……あとこの味付けのりって何だろう?

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