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チャンスの大半は知らないうち失っている

ふぅー、気持ち良かった。狭いお風呂も、いつもの広いお風呂よりもちょっと暖かったな。

「ちょっと遅くなっちゃったけど、それじゃあ手を合わせて……いただきます。」

春子の声に合わせるように、優と桃香もいただきますと言った。その後に、知亜も真似していただきますと言った。最近の小学校では、給食費を払っているのは各家庭の親達なのだか給食でいただきますと言うのはおかしいなどと言う親のせいで、食べる前のいただきますが無くなっているという話だ。それはさておき、新井家の今日の夕ご飯は日本の各家庭によって味が違うカレーライスだ。

「やっぱりカレーには、ラッキョウだよな。」

そう言って優は、大量のラッキョウをカレーライスに乗せた。ラッキョウをかじってはカレー、ラッキョウをかじってはカレーと交互に食べていた。

「またそんなにラッキョウ食べちゃって……胃もたれしたって知らないよ。」

春子は優に注意をしながら、カレーライスを食べていた。そんな春子のカレーライスには、大量のマヨネーズがかけられていた。気持ち悪くなるくらいに……。

「お前のそのマヨネーズは、僕のラッキョウカレーより胃もたれしそうだけど。」

そんな事を口走りながら食事を進める優だったが、さすがにラッキョウを入れすぎたようで容器に戻そうとしていたが、春子に行儀が悪いと言われ懸命に口にラッキョウを運んでいた。

「お父さん、ラッキョウばっかり食べるから頭もラッキョウみたいなんだよ。」

桃香は優のコンプレックスに触れながら、用意されたカレーライスを頬張っていた。

「…………」

食事中にもかかわらず自由奔放にしている新井家に、知亜は困惑しながら春子お手製のカレーライスを黙々と口に運んだ。

「どう、私のカレーライスはおいしい?」

春子にカレーライスの味を聞かれた。これまでに、何度も謙虚な姿を見せていた知亜なのだからきっとおいしいというに違いないだろうと春子は思っていた。

「……えっと、すごくおいしいです。」

知亜は素直にカレーライスのおいしさを伝えた。これまでに食べたカレーライスは、温かいけど暖かくは無かった。しかし、春子のカレーライスはジャガイモの大きさも、人参の大きさも、玉ねぎの大きさも、お肉の大きさもまばらだが、暖かかった。そんな、不思議な暖かみが知亜にとっては最高のスパイスとなっていたようだ。

「ふふっ、ありがとう。嬉しいわ。」

知亜の頭を撫でながら、春子はお礼を言った。

「あー!知亜君ばっかりずるい。お母さん私も私もっ」

桃香は、春子に頭を撫でられている知亜を羨ましく思い今度は自分も撫でをせがんだ。そんな桃香に春子は、はいはいと言って撫でてやった。むふーっと言いながら、桃香は気持ち良さそうにしていた。

「なんか僕、蚊帳の外だね。僕の頭も撫でてよー春子ぉ。」

……大の大人が気持ち悪い事を言いながら春子に頭を近づけていた。夫の頭を撫でるのなんて、せいぜい新婚のラブラブ夫婦くらいだろう。そもそも、ほぼつるつるの頭を撫でたいと誰が思うのやら。

「……優さん、今は食事中ですよ。静かにしてください。」

春子は、そう言って自分のカレーライスを食べ出した。その時に春子はアイコンタクトで、まぶしいから頭をこちらに向けないでくださいと優に伝えた。そんな春子のアイコンタクトを優はこう勘違いした。

……今は子どもが居るから、夜2人きりの時にね。と



あっ、お兄さんの数少ないひじきがお兄さんのカレーライスに落ちちゃった。言った方がいいのかな。でも、お兄さんは頭のこと気にしてるみたいだし、でも早く言わなきゃお兄さんが口に入れちゃうし……あっ。

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