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流血表現や、吸血表現に類する描写があります。

苦手な方や、受け入れられない方はお戻りくださいませ。

 冷たい湿気を含んだ体温を奪い去るような冷たい風が小高い丘を駆け抜けていく。

草原にまばらに積もった雪、少し目を北の方に向ければ次第に緑は減っていき白銀の世界へと変わっていく

そんな雪との境界線を示すかのように東西に走る巨大な城壁とその中央には城。


「ぅう、変な感じです」


 転移酔いといわれる物に、顔をしかめてつぶやくルー君。

ふふんっと私は慣れてるわよっと言わんばかりにルーリが胸を逸らして鼻を鳴らす。


「ふむ………なるほど、魔力を電力に例えるならば過負荷に耐え切れず、回路が熱を持って……なるほど………」


 ギムレーが胸ポケットから、モノクルを取り出して今でてきたばかりの転送方陣をしげしげと眺め

指を伸ばして文様をなぞり、万年筆でメモ帳になにやら書き込んでいる。


「??」


 真っ白い雪についた鮮やかな紅い幾つもの点。

ルードヴィッヒが首を小さく傾げる。血? なぜ? 点線を追いかける。

白い雪のような肌に、手首から血を滴らせているティセリア。


「ティセさんっ?!」


 慌てて駆け寄る。

声に驚いたように皆の視線が集まる中でティセリアとルードヴィッヒの視線が絡まる。

顔を真っ青にして、ふらふらとまるで貧血で倒れる寸前のようにも見えるティセリアを支えるようにぎゅっと抱きしめる。


「だ、大丈夫ですか?」


「失礼……………ふむ、ん……なるほど」


 ギムレーがティセリアの手を掴み、しげしげと眺める。

既に外傷はふさがったのか、見られず。白い肌に血の跡が残っているだけ。


解析(アナライズ)


「心配ないですよ、固有魔力と血液の損失による体調不良でしょう。血か生気を補充すれば回復するはずです」


 意味が通じないのか、じっとギムレーを見上げるルードヴィッヒ。

任せたと言葉を残して、部屋を確保するのに魔防壁の城へと走っていくディアナとルーリ。


「ふむ、ご存知ないですか?」


 基本RCOでは、HP,MP.SP。要するに生命力、魔法力、スタミナなのですが、特定の種族や種族クエスト、特殊クエストで条件を満たすことで

いくつかの数値が現れます。吸血鬼でいえば、吸血鬼としての血の数量。そしてその吸血鬼としての血に宿る魔力。

この2つが追加されます。固有スキルや固有の従者召喚にも使われますし、本来の魔法力の代わりとしても使用可能ですが

回復には血を吸わなければいけません、魔物の血は見た目の問題などもあって好まれませんし、リアルになった現状では益々ダメですね。

また、回復するために売られている輸血パックもありますが、鮮度問題と転送の使用不能によって現状入手不能になっています。

なのでPCかNPCから血か生気を吸収する必要があります。

何もしなくても徐々に減りますが、普通に生活していれば一ヶ月は摂取しなくとも良いはずです。


 ギムレーの説明を聞きながら、何を思いついたのか目の前で襟をはだけて首筋を見せる。

ぞくりっと身体が震える、思わず押し倒して噛み付きたい衝動が湧き上がる。

甘くも無い、男の子の匂いのはずのルー君の匂いが、すごく甘い誘うような華の匂いに思える。


「大丈夫………だから、首しまって…………さすがに」


 なんとか絞りだすように声にする。声を出す瞬間に口を開け、そのまま噛み付きたくなるのを必死に堪えて目をそらす。

手をルー君の肩に置く、そのまま押さえつけて歯を立てたい。

あぁ、何を考えてる………違う、違う……インベトリに確か………。


 ティセリアの手の中に現れたメディカルブラッドと書かれた輸血用のパック。

ご丁寧にも、パックジュース用のストローが付けられている。それを手にとってつぷりっと指す。

ふわりっと血の、鉄の匂いがルードヴィッヒの鼻腔にまで届く。


「いくつか持ってるから………んんっっっ……んぐぅ」


 ちゅぅっと吸い上げる。白いストローに紅い液体が吸い上げられて、ティセリアの口腔に入っていく。

小さくむせるようなえづくようなくぐもった音が漏れる。

ぞわぞわっと鳥肌を立たせ、なんとも言えない微妙な顔つきでティセリアがストローから口を離す。


「………………まずっっ」


 目尻にうっすらと涙を貯めてぶるぶるっと身体を震わせる。


「ぇ………っと大丈夫ですか?」


「ん? あれ? ティセ、それってトマトかアセロラ味ちゃうん?」


 背中から抱きしめられ、きゅっとマッセ胸が背中に押し付けられる。

びくりっと震えて、手に持った輸血パックを取り落としそうになる。


「美味しくないんですか?」


「飲んでみる???」


 小さく首を傾げるルー君。可愛い。ちらりと覗く首筋が誘惑してくるが、顔に出さずに渡す。

渡された輸血用のパック、恐る恐るストローに口づけてちゅぅっと吸い上げるルー君。


「んっっこっ、んぅぅぅっっ!?」


 噎せて、必死に口を押さえるルー君。

こうなんとも言えない、絶妙に微妙なまずさが口腔いっぱいに広がっているんだろう、ふふん、道連れ。


「ふぅん? なんや、間接キスやのに残念やなぁ少年?」


 ぶふぅっとマッセの一言が止めになったのか、反射的に横をむいて真っ赤な霧を吹き出すルー君。

けほっこほっと激しくむせながら、耳まで真っ赤になっているルー君からマッセがうちももらーおと輸血パックを取って飲んだ瞬間に吐き出す。


「けほっっ、なんやのコレ。罰ゲームみたいやん………」


「データ見てみるといいよ?」


───輸血用パック───

主に吸血鬼や魔法儀式など血を必要とする者の為にテルナ城にて売られている輸血パック。

生物などから直接採取、吸血より効率は落ちるものの十分な効力を発揮する。

なお食料品と違い、インベントリや倉庫内でも品質は劣化する。

血としての効果は薄れていく為、定期的にお買い上げください。


血液レベル :1 

味     :アセロラ味  

鮮度    :最低


*鮮度が最低状態です


「うわぁ………ティセヒドイわぁ。こんな可愛い子の初めての関節キスやのに」


 けらけらと真っ赤な顔でオロオロとするルー君を笑いながら、口直しっと頬に口付けられる。

その様子をみて固まるルー君。


「ん、なんや? あかんで? ウチの唇はティセの物やしな~(ティセ、あんたコレやとほぼ回復してないやろ? ウチの血飲む?)」


「あはは………(大丈夫、無いよりはマシだし。まだ予備もあるし)」


 ガラガラと音を立てながら魔防門の方から布団のひかれた台車を黒騎士中隊の男が2人がかりで引っ張ってきている。

もちろん台車の上にはルーリが仁王立ちし、その横で申し訳ありませんと極上の笑みを浮かべて男2人をねぎらう、確信犯的なディアナ。


「お姉様、お迎えに着まわした」


「では、失礼して………(種族クエストの従者を召喚されましたね? 伯爵は不死者、もうお一人はコウモリでしたか……、まぁ無理はなされぬように。私のツテで取材予定の方にも援護に入ってもらいましたので)」


 ひょいっとティセリアの肩と腰に手をまわし、俗にいうお姫様抱っこで抱え上げるギムレー。

抵抗する事も無く驚いているティセリアを抱き上げたまま、目の前まで来た台車の布団にそっと寝かせる。



このあと、噴水広場での戦闘をかこうと思った!

思ったのですが、需要あるのかな?


ウルさん+ベルカ+ティセの召喚ペット+???さんの予定ですけども。

とりあえずは、一旦ここでしめ!



ちなみに、ギムレーさんはRCOの現実世界でもあるアロワ新聞という

ヨーロッパ系列の大手新聞社で働いているベテラン記者という設定です。

その会社がRCO内に作った支社の責任者として夫婦揃ってきておられます

ゲームなので、必要無いのですが本人の趣が無いとかなんとかで

万年筆とメモ帳を使っておられます。


奥さんはたまたま食事の用意で席を外されていたので

ゲームに残されたのはギムレーさんだけです。

歩行系と移動系、解析、看破系のスキルを使います。

リアルでの護身術の心得もあり、そこそこの身体能力を持っておられます。

好物はシチュー。ちなみにゲーム内ではリアル年齢-20歳。

現実世界では渋いまさに紳士というのをそのまま想像してもらえればいいかと!

私の描写力では描写できませんけども orz

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