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冒頭部分は30のHALのセリフが入ります。

繰り返し書いたほうがいいのか、どうか悩みカットしました。


 ゆっくりと空に映しだされる映像は遙か北の大地。

あらゆる災厄を生み出すと言われている奈落の穴がある場所。

青黒く鈍い光を灯しながら宙に浮かぶ巨大な球体から、モンスターが生み出される。

緩やかにではなく、一斉に。瞬きをしている瞬間にも球体の周りに黒い塊が、魔物の群れが生まれていく。

その勢いは凄まじく雪の白と草原の緑が混じる大地を瞬く間に黒が飲み込み、染めていく。


 ざわりっと静かだった広場に波紋が広がる。

空に浮かんだ景色が増える。奈落付近に陣取っていた黒騎士中隊の映像が映しだされる。

魔物の群れに飲み込まれていく奈落のすぐ近くにいたプレイヤーも映しだされる。

誰かが漏らした悲鳴、広場に広がり、誰もが恐怖を死を感じて震える。

そして映しだされる天幕内の映像と音声。まるで映画のワンシーンのように隊長が控える副官達と会話していく様が声を伴って映しだされる。


「それにな、中身はおっさんだが昔は純粋なガキだったんだぜ?テレビのヒーローに憧れてた。助けを求める人を救いたいってな。ゲームでぐらい夢は実現してぇじゃねぇか」


 そういって黒騎士中隊の隊長と副官が敵陣へと走りこむ様子が映され、映像がぼやけて、魔物の波が黒騎士中隊に迫っていく様子が最後に上空から映されて消える。

誰かが恐怖に負けて叫ぶ、それに釣られるようにして恐怖が広がり嘆きがひろがっていきそうな時に、再び空に映像が映し出される。

映像に映っているのは、奈落近くの第1魔防壁。そこに北風にはためく無数の黒い旗。

旗に描かれているのは棍棒をメインとした撲殺同盟のギルドマーク。そして魔防壁に設けられた砦に駐留している黒を基調とした装備をしたプレイヤー達が写る。

戦争の中継をみなくても、戦争に参加していなくとも、ある程度RCOをやっていれば誰もが知っている戦争ギルド。

恐怖に声を上げていた者も、力なく崩れ落ちたプレイヤーも全てが顔をあげてその映像を見つめる。


「みなさん!!」


 映像の途中に配置に付いたのだろう、街の至る所に黒騎士中隊の隊員達が立ち、手元の魔道具を起動させ

映像を、アナウンスを街中に映し出し、流している。

映像に移った北の地の様子の前に1人の男が立つ。

強い声での呼びかけに何人かが反応し、それぞれが自分の近くの隊員を見つめ、そして映像をみる。

ざわざわと騒いでいたプレイヤー達が言葉を待つように映像に写る男を見上げ、苛立ち始めた頃を見計らい

ようやく口を開く。


「……………心配はいりません。既に撲殺同盟が第1魔防壁に、各ギルドから主力を集めた決戦部隊が最終ラインに集結しております」





 首都の各地から響く声。恐らくは中継を繋ぎ拡声器を使って、各所から音声と映像を流しているんだろう。

HALのどこにいても聞こえる声とは違い、ティセリア達の居る場所からも少し遠くのほうから声が聞こえている。


「さすがというべきでしょうか、少し感動してしまいますね」


 小さく吐息を漏らし、笑顔でうなづくディアナ。

広場の方から聞こえる喧騒は、静かになり説明をしている黒騎士中隊のアナウンスの声だけが響いてくる。


「…………………扇動の才能………カリスマを感じる」


「そうだね、映画好きがいるからねぇ」


 ルーリのセリフに思わずくすりと笑ってしまう。

アナウンスで聞こえる声は知人のもの、映画が好きで演説シーン等は全て暗記していると豪語していた。

こうなると予想して用意していたのか、即席で演説しているのかはわからないが、聞いていて心地良い。


「ティセ………?」


 少し不満と不安の混じったような表情で頭を後ろに倒してこちらを見上げてくるルー君。


「どしたの? 大丈夫だよ。巧い演説だし、聞こえる喧騒も落ち着いたみたいだしね……さすがはウルさんというところかな?」


(そういう事じゃ………)


 何か言いたそうにルー君が少し不満げな表情で口を動かす、それが言葉になることはなく………。


「あかんわ、なにこの空間。めっちゃ甘酸っぱい! それはええねん、おいておいても。第2魔防壁はええねんけど、アレ見た上で覚悟してやの?」


 マッセが笑いながらテーブルを叩き、私とルー君を交互に見る。

何か合ったんだろうか? 視線を下げてルー君を見ると照れたようにふいっと視線をそらされて前を向かれてしまった。

むぅ…………。

そして自分から言っておいて、話題を変えるマッセ。

笑みを引っ込め、少し真面目な表情をしている。


「全部聞いてるよ。黒騎士と撲殺は、第2魔防壁で決戦するみたい。だから武器防具と魔法陣の設置を頼まれたのかな? 事情とかはさ、ちゃんと事前に聞いてきたからさ………メッセージで送るよ」


 喋りながらシステムウィンドウを開く、ゴムルから貰った凄まじい量の文章の書かれたメッセージを4人に転送していく。


「ちゃうちゃう、ティセ。戦えへんやろ?」


「ぇ?」


 マッセの言葉に苦笑する。


「そうだねぇ………ゲームならともかく血とかああいう現実になると無機物とか以外は無理………かな」


「えっと……どういう……ことですか?」


 膝の上で器用に姿勢を入れ替えてルー君がこちらを向く、距離が近い………。

さらりとした髪の毛、綺麗な瞳が見上げてくる。どことなく子犬や子猫を連想させる雰囲気に

思わず手を伸ばしてまた頭を撫でてしまう。


「そうだね、ルー君さ。ちょっとちがうけど、お肉食べるよね? ……うん、じゃぁさ、自分が飼っている自分に懐いている肉用の牛を自分の手で殺して食べれる?」


「………っっ。必要があるならば……手にかけます。代用できるならそうしたいですが……」


 動揺し、その状況を思い浮かべたのだろうか?

悲しげな表情で一瞬瞳が揺れるが、すぐに小さくうなづき、手にかけられるという。


「それも1つ、んでまぁ………ここに居る皆は知ってるけど、色々あって血……っていうか……死が関連するとだめっていうかね~」


 あははと笑ってごまかす。


「……僕が守ります。だから………大丈わぷっっ」


 じっと見上げてくるルー君が真剣な表情で…………我慢できずに抱きしめてしまい……。

なにこれ、なんなの可愛いすぎる生物。

現実でも猫や犬は大好きだけど、破壊力がハンパじゃない。

別にショタっ子が好きとかそういう事は無い……無いはず。


「ティ………ティセ……さ、くるっっ…………」


 絶妙な感じでしっくりくるというか、ぴったりと抱きしめられるサイズ。

頭に顔を密着させると、サラサラの毛の感触とルー君の匂い。



「まぁ黒騎士んとこのことやし、前にでぇとは言わへんやろうし……それでも戦闘にはなる可能性もあるやん?(これツッコンだら負けやな……?)」


「危ない時は頑張って逃げるよ、それにルー君が頑張ってくれるらしいし?」


「…………ぁぅ、頑張ります」


「それで、お姉様? 移動はどうするのですか? ここから魔防壁までですと無理をしても一週間はかかると思いますが………(ハイエルフの特性で感情が薄いとは言え、嫉妬しますわ)」


 ふわりっとインベントリから地図を取り出してディアナがテーブルの上に広げる。

システムから地図は見られるので必要の無い趣味アイテム……よくもってたねディアナ。

 

「転移方陣が使えるって聞いてr「「「ぇ?」」」


 3人の声が被る。転移系のアイテム等は全て使用不能になっているというが皆の認識でそれは間違っていない。

抜け道などを探して多くのユーザーが試し、ギルドホームへの帰還機能すら使えない事は実証済み。

唯一使えるのはギルドホームとマイホームを繋ぐ機能などほんの一部。


「………えっと転移方陣ってなんですか? 」


 少し恥ずかしげにしながらルー君が小さく手をあげる。


「クローズベータ、オープンベータの頃だけにあった各国とギルドが共同で遣っていた狩場への転送サービスでね、国とギルドから出向した上位の空間魔術師が4人がかりで少しのお金で狩場までワープさせてくれるサービスだよ」


「……………製品版になるとアイテムやプレイヤーができるようになったので、中止され、名残である方陣のみが残されたというストーリー」


 補足するように後を引き継いでルーリがつぶやく。


「それをプレイヤーが起動させるってことでしょうか?」


「……………マイナー技能をしかも、上位の使い手をよく4人も揃えた。多分へたれを集めても起動しない」 


 こくりと小さくディアナがうなづく。

使い勝手の余り良く無い空間魔法技能、便利魔法なんかを覚えるけどアイテムで代用できる物も多く

その技能を取るぐらいなら他の魔法技能を選ぶ方が遙かに強くなれる。

そして熟練度を上げるのに、すごく手間が懸るために、取得しているプレイヤーでもある程度のスキルや魔法を覚えれば止めてしまう。


「ちょ……っと、ぇっと、その前に皆行くかどうかを……」


 当然のように進んでいく話、大事な事を聞いていないと思って声を出すと皆がこちらを向く。

ただ、4人が4人とも少し呆然とした、何を言っているんだといわんばかりの表情なのはなんだろう。


「……………な、何か変な事言った?」


 じぃっと無言で見つめられて、恥ずかしくなって皆の視線から逃れるようにうつむいて小さな声になっていく。


「なぁ………ティセ、あんたアホやろ? 嫁が行くいうてんねんからウチも行くに決まってるやん?」


「……………………怯えるお姉様を助ける→芽生える愛→禁則事項」


「皆連れて行くと、そういうつもりで話されているとばかりおもっていましたが」


「何があっても着いて行きます!」


 うぅ………なんなんだろう、ぁーもう。

4人に見つめられて恥ずかしくなって、インベントリからアイテムを取り出して顔を隠す。

別に感動して涙が滲んだとかそういうわけではなくて………。


「ティセ、それはあかんで。破壊力ありすぎやで…………」


「ぇ?」


 マッセに言われて目を開ける。

目の前にあるのはピンク色のもふもふとした人形。

殺人ウサ人形と言われるデフォルメされた、包丁を持った少し顔の怖い人形。


「ぁ………あっぅ、これは、ちがっ、その別にそういうわけじゃっ」


 慌てて別の物をだそうとしてインベントリからアイテムを引っ張り出す。

ぽふんっと出てきたのは魚を加えたクマ人形、慌てて違う物をだしてくればイベント限定で配られた色違いのウサ人形。


「…………………………お姉様、ドジっ娘。破壊力抜群……ぁ、鼻血が…」


「ぅぅぅ、と、とにかく夜に黒騎士中隊の詰所だから、それまで自由時間だからっっ!銀行倉庫を整理しててインベントリの一番上に人形ばかりがあっただけだよっっ!」


 それだけ言うとルー君を膝から下ろして、走って逃げる。


 

登場人物が多いのが悪いのか、世間話が苦手なのか、全然筆が進みませんでした。

イチャイチャシーンとか戦闘シーンとか

(検閲により削除されました)シーンとかはすごく筆が進むのですが…。


何度も書いては消したのですが、現状ではあまり良くできませんでした。

上手く書ければ差し替えようとおもいます。


人形から小瓶、羽ペン日用雑貨から要らない物までなんでもRCOにはあります。

そういったアイテムでプレイヤー所有の店や家、ギルドホールは文字通り自由に現実の自室等のようにカスタマイズできます。



インベントリ(プレイヤーのアイテムバッグ)

銀行倉庫(預かり所みたいなものです、課金機能でティセリアはどこでも開けます


あとプレイヤー間の受け渡しは、手渡し、システムによるトレード機能

銀行での郵送機能などがあります。

もちろん捨てた物を拾うなどもできます。

”置いた”物は取得できません。


ちなみに、使える長距離転移系の物にはいくつかの条件があります。

魔力が必要であること(転移方陣の場合4人のNPCもしくはPCの魔力+空間魔法技能

ギルドホームとマイホーム(店なども含む)は、ギルドホームに蓄えられた魔力を消費します。

別途サブマスター以上の権限による承認が必要です。

なので、遺跡ダンジョンなどに仕掛けられた転移罠や脱出用の魔法陣なんかも条件次第で作動します。

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