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筆が進んだのでもう1話。

勢いで書いたので推敲はあんまりできてません、すいません。

 地下3階で一番広い通路。さきほど通った神殿のような通路で、窓からは青白い光が差し込んでいる。

ぞわりっと湿ったような風が吹き抜けて2人が肩をすくめる。


「ルー君っっ」


 ガキィっと甲高い音が響き、ティセリアが左手に取り出した盾が鉛のように中程まで切り裂かれて白い煙を上げている。

目の前には黒い、闇に溶け込めば視認すらできなくなりそうな禍々しい鎧を着込んだモノ。

片手には1m程の盾、もう片方にはロングソードを持っている。鎧も武具も錆1つ浮いていない。

足音はしていなかった、灯りの視界内にもみえていなかった。

ティセリアが声と同時にルードヴィッヒをだきよせていなければ、その剣は間違いなく貫いていただろう。

ルードヴィッヒの視界の端、灯りによる視界の僅かに外側に目の前の黒い鎧がもう1つ見えた気がした。


「ティセさんっ」


 距離にしておよそ15m程だろうか、漆黒の鎧をきたモノが僅かに身をかがめ、足を踏み込んだ瞬間に加速し迫って来る。

それはスケルトンソルジャーと同じ、だが速度が違いすぎる。凄まじい速度から繰り出される剣による刺突。

それでも見えているのだろうか?偶然だったのだろうか、ルードヴィッヒの構えた剣が突き出された剣と交差し、跳ね上げる。

剣を跳ね上げられたソレは、その勢いのまま後方へとぬけて、こちらを向いている。


「うっ、スケルトンロード……ってことは最低でもリッチ?」


 ゆっくりともう1体が前方から姿を見せる、2匹による奇襲の失敗のせいか、ゆっくりと足音も無く歩いていくる。

前方に2匹、後方に1匹挟み込まれた形になる。スケルトンソルジャーとは違い足さばきもしっかりとしている。

油断無く盾を前へと構えている。


「ちょっと不味いかな……あはは」


 切り裂かれた黒鉄の盾をインベントリにしまい込み、手に黒く禍々しい剣一切ない剣を顕現させる。

ぅーん、前方と後方に2:1か………さすがにロード相手じゃルー君には無理。

これに最低でもリッチがくるから、死に戻りになっちゃうかな……ぁー痛いのはイヤなんだけどなぁ。

なにより、目の前でルー君がやられるとか………


「後ろの1匹ぐらいなら、なんとかします」


 するりっと私の脇から抜けると背中をむけて後ろへと剣を構えるルー君。

いやいやいや、ルー君いくらルー君が強くてもロードはちょっと………無理だと思う。

頑丈な鎧と盾による防御、盾スキルによるフィールドなど守りは頑丈で、アンデット故にダメージでのけぞったりなどしない。

上級者ですら、暗闇からの奇襲で一発もらうこともあるし、まともに戦ってもかなりの強敵。

ソルジャーが中級者への条件とするなら、ロードは上級者への戒め。

むしろ使用する武器がレイピアや短剣類等だった場合上級者でも勝つのは難しい。

攻撃するときに出来る隙に相手は怯まずに攻撃を重ねてくるし、重武器でなければ盾や鎧の防御を押し返せない。


「ルー君っ、さすがにそれはっ」


「大丈夫です、アレぐらいの突きなら見えます。」


 は? わけがわからないよ? アレぐらいと言えるモノじゃないんだけど。

私だって上級者と呼ばれる辺りになってからでも、剣や短剣で戦って何度も負けている。

それをレベル15でアレぐらいって………


 思考が強制的に中断される。ガキィっと響き渡る金属音。突き出された剣を手にした剣で横へと受け流す。

研ぎ澄まされた感覚が周りの景色を緩やかに見せる。ゆっくりと感じられる時間の中で自分の動作だけが早い。

黒い刃がスケルトンロードの盾に受けられる。バチンっと黒い半透明のフィールドが見えるのも一瞬、音もなくティセリアの剣がソレを割り

シールドを丸で豆腐のように切り裂いて、そのまま鎧ごとスケルトンロードを両断する。

ガシャァンっとけたたましい音を立てながらスケルトンロードだったモノが壁に叩きつけられて骸へと戻る。


【サモン:ウィスプ】


 ティセリアの手の平からゆらゆらと、小さな光球が浮かび前方へと飛んでいく。

光に照らされて浮かびあがったのは、ボロボロのローブをまとい、髑髏の杖を掲げる骸骨。

眼孔に目玉はなく、青白い光がまるで目のように灯っている。

まるで笑うようにゆっくりと骸骨が口を開く。


「ハイ・リッチ………可能性としては確かに出現するけど……」


 どうしようか?相性は寄りによっても最悪も最悪。

地下墓地以外ならなんとでもなったけど、ここのボスは地下墓地内では強化される。

通常の状態でもヤバイのに、HALだっけの強化と地下墓地フィールドによる強化。

うーーーん、特に何も思いつかないというか、思いつけない。

ルー君だけなら逃せられるかな?けど、絶対うんって言わないよねぇ?

背後から聞こえていた断続的な金属音が鳴り止む。

ちらりっと後ろを振り返ると、ゆっくりと黒い鎧がルー君の剣に貫かれて、スケルトンロードが崩れ落ちていくところだった。

カラカラと乾いた音をたてて骨が結合を失って転がっていく。

嘘? ぇ? なんで?


「ティセさんっ、なんとかできましたっ」


「うん………」


 なんとかって、なんとかできるモノなの?


 ぞくりっと鳥肌が立つ、視線を戻すとゆらゆらと杖を掲げて揺らしながら、ハイ・リッチが詠唱をしている。

慌てて詠唱を追いかける。視界の片隅に表示される詠唱分より早く読み上げて紡いでいく。

カタカタと顎骨を鳴らしながら詠唱するリッチの呪文においつき、2人の詠唱が重なる。

ハイ・リッチが杖を、ティセリアが左手を前へと掲げる。


【【ソウル・スティール】】


 2人が同時に詠唱を完了し、呪文が完成する。

ティセリアとハイ・リッチの中間点で青白い火花が飛び散り、風が巻き起こりティセリアとリッチへと吸い込まれるように流れる。

その手前の地面からはゆらゆらと立ち上がる光の球が、ティセリアとハイ・リッチの双方に吸い込まれていく。

呪文にちょうど挟まれた形のスケルトンロード、ゆっくりと身体の端から灰へと変わり、サラサラと風化するように崩れていく。

崩れ落ちた時に浮かんだ青い球がティセリアとハイ・リッチへとやはり、吸い込まれていく。


「ルー………くん…………動ける?」


 ハイ・リッチとぶつかり合う呪文、気を抜けば押し切られそうな中で声をかける。

視線をちらりっと動かすと真後ろにきていたルー君と視線があう。

小さな切り傷はいくつもできているが大丈夫そうかな? 

ルー君の頬を流れる血に思わずこくりっと喉が鳴る。

ん?


「はい、合図で斬り込んだらいいですか?」


 小さくうなづいて剣を握り直すルー君に小さく首を振る。

ハイ・リッチと私の間には呪文が行使され続けてる、そこに踏み込めばさきのスケルトンロードのように生気を吸収されて塵に変える。

パーティーメンバーの私の呪文はルー君には影響を与えないかもしれない、けど与えなかったとしても

ハイ・リッチはさすがに一撃では倒せないし、仮に呪文を中断させられても私では有効な攻撃手段がない。


「右後の扉から迂回して地下2階へ「いやですっ!」」


 言葉の途中ではっきりと断言される、予想はしていたけど……、いい子だなぁ。

ハイ・リッチから視線を戻すと、捨てられた子犬の様に瞳を潤ませてルー君がこちらを見上げている。


「いやです、ティセを置いていくぐらいならなんとかします、なんとかならなくてもしてみせます」


 ぞくりっと身体が震える、思わず抱きして歯を立てたい衝動を必死に抑えこむ。

歯を立てたい?ぇ?あれ? ズシリっと身体に掛かる圧力が増す、慌てて集中しなおす。

僅かにこちら側へと進んでいた中間点を示す飛び散る青い火花がそこで止まる。

ルー君は真横にきて、ぎゅっと私の右手を握って動かない。

まぁいっか、まだ死ぬわけじゃないし。一緒に神殿に戻されるだけ……。

せめて、時間が少し稼げれば………。


「大いなる光の徒 我が名において 裁きの光を」


【ホーリー・ペネトレイト】


 ルードヴィッヒの指先から放たれた光の弾丸がハイ・リッチ目がけて飛んでいく。

火花を散らす地点を過ぎた辺りから、呪文の影響か目に見えて光が失われるがソレはハイ・リッチへと当たる。

ゆらりっと僅かにだが、動揺したのか青い火花の位置が最初の中間点の位置まで戻って行く。


「ちょっと、ルー君?! 無茶しちゃだめ!」


 視線を落とすと辛そうに顔を歪めながら荒い息を吐いているルー君。握った手はじっとりと汗ばんできている。


「掲示板で………呪文一覧が………ありました……から……」


 荒い息を吐きながら、再び詠唱をはじめるルー君。

放たれた光弾が再びハイ・リッチを掠め、身じろぎした瞬間にぼろぼろのローブをまとった身体が壁へと叩きつけられる。


「お姉様に何してるの!」「……………障害を排除」


 通路に現れた2人組、1人がハイ・リッチを切り伏せ、もう1人が蹴り飛ばして壁に叩きつけたようだ。

ゆらりっと、瘴気を立ち上らせながら起き上がるハイ・リッチ。


「我が血を糧として…………」


【血塗られた聖槍】


 ティセリアの足元から黒い闇が浮かび上がり、目の前で槍の形を取っていく。

ティセリアの身体から赤い筋がいくつも槍へと伸びて、吸い込まれていく。

闇色一色だった槍に血の様な深紅の模様が描かれていき、そして高速で撃ち出される。

空気を切り裂いて亡霊のような声を上げるその槍がハイ・リッチへと突き刺さり、槍から黒い死霊が吹き出して包みこんでいく。

思わず耳を覆いたくなるような断末魔を上げてハイ・リッチが闇へと飲まれていく。


「はぁ………助かったかな?」


 ふらりっと力が抜けてそのまま地面へとへたり込む。

ずるずるっと引きずられるようにしてルー君もヘタリ込み、こっちへと凭れかかってくる。

手を伸ばして撫で撫でと頭を撫でる。


 青い白い光の差し込む廊下を2人がこちらへとゆっくりと歩いて来る。

さらりとした銀髪を後ろで束ねている、切れ長の瞳に整った顔立ち、モデル用なスマートな身体つきの女性。

手に持った槍を優雅に回し、背中へとしまう。

もう1人は、小さっ………慎ましい体つきの少女。

淡いピンク色の髪の毛をツインテールにしている、その顔つきは10人中8人は可愛らしいというだろう。

消滅したハイ・リッチの居た場所をじろりと一瞥すると、笑顔を浮かべてティセリアに微笑む。


「お姉様、ご無事ですか?」


「うん、ディアナ、ルーリも2人ともありがと………ていうか、ログアウトできなかったんだね」


 2人を見上げて微笑む、照れたように2人ともが頬を染めて視線を逸らす。

じろりっと少女、ルーリがルードヴィヒを睨んだような気がする。

こっちと目が合うとにこっと微笑んでくれる、気のせいかな?


「………………話は帰ってから」


 ぼそりと小さく呟いて、手を引いて起こしてもらう。

横を見るとルー君が真っ赤になって、おろおろしている。

うんうん、ディアナって美人だし、ルーリも可愛いからね~。


「ぁ………ぁの、すいません、腰抜けて………」


「……ぷっ、あはははっっ」


 真っ赤になって何を言うかと思ったら、思わず吹き出して笑ってしまった。

ますます真っ赤になって俯くルー君の頭を撫でて、手を引っ張って起こして、そのまま抱き上げてしまう。


「わわわっ、ちょっ、てぃ、ティセさん? こ、これ恥ずかしいです」


「はいはい、腰抜けてるんなら観念しなさい」


 くすくすと笑いながらルー君を背中に担ぐ。真っ赤になって照れているが、暴れはしないところがまた可愛い。


「お姉様??」


「………………違和感、影響がでてる」


 2人が怪訝そうにこちらを見つめてくる。

どしたの?と返すとなんでもないと、前後に位置取って護衛してくれるみたい。


RCOでは呪文を知っていれば、対応の技能がなくても使えます。

ただ、身体に負荷が掛かるのと、消費MP増大がデメリット。

詠唱、威力なんかにもスキル補正が掛からないので詠唱短縮もできないし

威力とMP消費が割りにあわずにまず使う人はいません。


ルー君の戦闘シーンは書き始めると一話分ぐらいになりそうので割合。

きっと強敵を呼び寄せるのも主人公補正なのかな……。

地下墓地の通常ボスはワイト、時間経過でリッチに変化します。

そしてありえない事ですが、ゲームの設定上ハイ・リッチがでる可能性もありました。

あくまで0ではないだけで………。


スケルトンロードは

暗黒剣士とかいった感じの黒い全身鎧の騎士を想像してもらえばいいです。

レベル的には40程度ですが、相性や中の人の腕次第では70台でも負けます。

アンデットなのでダメージよるのけぞりがなく、全身鎧と盾による防御。

そして盾スキルによる物理障壁や対魔法障壁を形成します。

仲間への効果もあるので、すさまじく厄介です。


新キャラ2人ですが、

1人はゲーム内で有名人です。銀髪のほうです。

胸はあまりありません、残念。2つ名もちです。


もう1人は無口系だけど毒舌な幼…もとい少女です。

外見通りつるp……慎ましい身体です。


あと、ティセリアが女っぽすぎる理由ですが、次回で少し説明がでます。

感の良い人なら気づいていそうですけども!

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