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翌日、店内へと入ると朝も速いというのに結構な人が買い物している。
初心者の数が増えてる?
1人1人ステータスを観察していく、店に来た事のないプレイヤーが結構多い
人の顔を覚えるのは苦手だが、名前を覚えるのは得意だから、結構な確率で当たってるはず。
心の整理ができたのか、追い詰めれたのかで冒険に行く覚悟ができたのかな?それとも何か有ったのかな?
店を知らなかったとか?繁盛するのは嬉しいんだけど、その分プレイヤーが皆危険な所にいくってことだしなぁ。
掲示板で有名らしいけど……掲示板機能を知らなければ気づかないしね。
いつも通り日中は、紅茶を飲みながら小説を読む。
ダウンロードしておいた小説の残りも少ない、ぅーん速く読み過ぎかな?
日中は寝て、夜に起きるっていうヴァンパイアまんまな生活のほうが楽なんだろうけど
ちりんっとドアの鈴の音、店内の空気が少し変わる。
ん?
顔を上げると浅黒く日に焼けて引き締まった身体、白のシャツに黒いズボン、頭にはバンダナ。
まるで海賊の下っ端のような格好の青年。
それだけならば珍しくはないのだけど、纏う空気?雰囲気が少し違う。
ツカツカと靴音をさせながらカウンターに近づいてくる。
「すまないが、赤き浜砂を買い取って欲しいのだが、構わないか?」
素材買取交渉の札を親指で指差しながら、こっちを真っ直ぐに見つめてくる。
「うん、買取るよ」
小さくうなづく、値段をどうしようか?
<トレードが申し込まれました>
赤い浜砂:37
赤い浜砂:45
メモ
値段を言う前に品物がトレードウィンドウに乗せられて、決定ボタンが押される。
なるほど………。
<トレードが完了しました>
「ん、ちょっとまってね」
受け取ったメモをインベントリ内で開く。
「はい、どうぞ」
<トレードを申し込みました>
メモに書かれた品物を纏めてバッグに詰め込んでトレードする。
それの代金として幾つかのアイテムが渡される。
「海岸の様子はどう?」
「いつも通りだ、世界が変わっても景色は変わらない」
それだけを言うと小さく手を上げて男は去っていく。
初めて見る|男(人)だなぁ
男がでていくのと入れ違いにルー君が入ってくる。
さっきから入り口辺りでウロウロしてたけど、どしたんだろう?
「いらっしゃい、ルー君」
そういって声をかけると、びくっと小さく肩を震わせる。
まるで悪戯が見つかった子供のようだ、ぅーん、かわいいなぁ。
「あ、あの………ティセリアさん、その……新しい装備を作ってほしいんです」
とことこと歩いて来ると、小さくおはようございますと会釈をしてくれる。
目が合う度に気まずそうに目を逸らす。
確かに、人の目見て話すのって結構緊張するからなぁ
なんか初々しくて思わず撫でそうになってしまう。
本格的に装備を作るなら、あんまり人目につかないほうがいいかな?
戦闘方法や癖、スキル情報なんかは、この世界じゃ他人には漏らさない。
闘技場や戦争、滅多にないけどPKなんかと戦う時に、色々と不利になるから
名の売れてるプレイヤーなんかは、お抱えの職人に頼むのが一般的になっている。
だから、工房のドアをあけて、ルー君を手招きする。
工房の椅子に座ると、ドアをあけておじゃましますと丁寧に入ってくる。
「うん、そこ座っていいよ?けど、レベル13か……すごく頑張ったね。無理しちゃだめだよ?んじゃ、ちょっと盾と剣見せてもらっていいかな?」
目の前の椅子を薦める、ちょこんっと可愛らしく腰掛けるルー君
服装を変えれば、いや、今でも下手すれば女の子にしか見えない。
うんうんと頷きながら、そう言うと困ったような顔をしてこちらを見返してくる。
「うん?どうしたの?」
「ぇっと、その………ご、ごめんなさい、せっかくティセリアさんに作ってもらったのに」
そういって差し出される盾と………ボロボロになった剣。
受け取った剣をじっと見つめる、刃は何箇所もかけてボコボコになっているし
剣の腹の部分には、大きな傷がついている。直せない事もないけど、新しく作ったほうが速いし安い。
これ、矢の傷?遠出して無茶してもゴブリンどまりのはずだし、ゴブリンの攻撃ではここまで損傷しないはず
指先で剣の傷をなぞる。
傷の方向がおかしい?ルー君は右利きだから矢を受けるなら逆方向に傷が走るはずなんだけど
「ルー君、コレ、いや、いっか。道具は所詮道具だよ。ルー君の性格から無謀な事したんじゃないだろうしね」
怒られると思ったのか、おどおどとしているルー君に安心させるために微笑むと
顔を真っ赤にして俯かれてしまった、そんな怒ったような顔だっただろうか?
剣の方はともかく、盾にはあまり傷跡が少ない。
少し擦ったような後なんかは付いているけど、ゴブリンと戦ったにしては傷が、小さなかき傷だけ?
「ルー君は、あんまり盾を使わないんだね」
「ぁ、はい。小さな敵からだといいですけど、敵の攻撃を受け止めて力負けしたりしますし。視界が塞がれるのは反応も遅れるし、なんか落ち着かないです」
使いづらいだけなのかと思ってアドバイスも考えていたのに
返ってきたのは凄く、まともというか実戦的な答えだった。ぅーん武術の経験とかあるのかな?
この間の剣に念の為にヒューマンキラーも付けておいたけど、レベルの上がり方を考えるとゴブリンとも戦ったのかな?
ぅーん、だとすると剣の形状が違うほうがいいかな?
剣の形状を決めて、それに合うように鎧とか防具も作るほうが?
目の前で盾と剣をじっっと見ているティセリアさん。
剣がボロボロにしてしまった理由は聞かれなかった、信頼されてるのかな?
盾を使わない理由を聞かれて、思った事を答えるとぅーんっと声をあげて、少し仰け反り、足を動かすティセリアさん。
いつも店にいるときに着ているドレスローブなんかと違って、今日は軽装の鎧とミニスカート。
白い足が、太腿がスカートの裾から見えて、どうしてもそっちに視線がいってしまう。
夢中で何かを考えているみたいで、そっちにまで気がいっていないようで、膝が開いて下着が見えそうになっている。
言ったほうがいいのかな、けど、エッチな子だって思われるし………うぅ、どうすればいいんだろう?
「ルー君?」
「ひゃ、ひゃい!?」
声をかけると、びくっと面白いぐらいに跳ねて、噛んだルー君。
いきなり声かけすぎた?
剣をボロボロにしたのを気にしてるのか、さっきから落ち着かなさげにしているルー君。
「上手く言えないけどさ、盾も一応は使うんだよね?」
「はい、ただ、もうちょっと小さなもののほうが………」
「ちょっとストップ、動かないで!」
びくっと動きを止めるルー君に近づいて鎧をじっっと見る
鎧の左肩に辺りにいくつも傷がある。
ぅん?攻撃を受けたにしては、傷の付き方が変なような???
「ぁ、ぁっの……?」
「あ、ごめん。左肩のコレ。ここで攻撃受けてる???」
こんこんっと左肩の鎧を指先で突付く。
「はい、なんていうか癖のようなもので、ここで受け流す事もあります」
椅子に座りなおして考え込む。
ぅーん、左肩で攻撃を受ける?なんだろうスポーツか、なにかかな?
癖だとするとショルダーシールドみたいなのを付けてみたほうがいいかな?
「おおい!店主はいねーのかよ!!!」
店のほうから怒鳴り声が聞こえてくる。
む??せっかくルー君としゃべっているのに………
ちょっとした質問なのですが文章量的にどうなのでしょうか?
もうちょっと増やして1話のほうがいいのかな?
話的には、続きますのでもうちょっと一話のボリュームを増やせますが
増やすとその分更新は…
本当はもうちょっと速く書けるのが一番良いのですが
最近はリアルが忙しくてなかなか……。