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ティセリア達が火山へ行ってる間のルーくんのお話です。

推敲不足で見苦しいかもしれません、ごめんなさい

首都東の平原、そこを少し進むと、レベル5~10の魔物が出て来る。

あの日以降の初心者でまだここまで、狩りに来れる者は少ない。

敵が強すぎるからチュートリアルで進められる狩場を卒業できない。

卒業できる者は、儲けを減らしてでも楽な毒持ちの敵がいる狩場へ行っているのが殆ど

毒を喰らう代わりに防御やHPが少なめに設定されているから楽なのだ。


ザシュっと剣が小さな蜥蜴に喰い込み、トドメを刺す。

光の粒子となって蜥蜴が消えていき、地面には血だけが残る。

小蜥蜴の肉と革がインベントリに自動で取得される。


「はふぅっ……ティセリアさんが帰ってくるまでに10にするんだ!」


ため息と共にヒュッと剣を振り払って、血を飛ばして鞘に収める。

腰掛けにちょうどよさそうな石に腰を降ろして剣を眺める。


ショートソード+:カスタム

ショートソード、扱いやすいが攻撃力は高くない。

カスタムスキル:ヒューマンキラー 人型に+10%

カスタムスキル:リザードキラー 鱗生物に+8%

カスタム:重心位置修正

カスタム:ナックルガード

製作者:ティセリア


ティセリアさんの店の武器や防具にカスタムはされていないので

わざわざカスタムしたのを渡したと言う事になる。

狩場を予想してスキルも選んでくれたのかな?

けど、このヒューマンキラーはなんだろう?もうちょっと先じゃないと居ないよね?

年頃の男の子に期待をするなというほうが無理なもので

幸せそうな笑みを浮かべながらルードヴィッヒが、剣を眺める。

くぅっとお腹が小さい音を鳴らす。

インベントリからサンドイッチを取り出す。


だめだ、だめだ、勿体無くても食べないと………


うん、美味しい………、手作業とスキル発動とどっちだろう?

手作業だと嬉しいなぁティセリアさんの手で作ったサンドイッチ………

愛情の籠ったという説明文を見るだけで幸せな気持ちになってしまう。

よし、元気も出たしもうちょっとがんばろう!

レベル10になったら帰ってティセリアさんの店で装備を作ってもらえるし!

「次はレベル10だから、ちゃんと戦闘に併せてしないとね?」

脳内で装備を渡された時にかけてもらった声が再生される、楽しみだなぁ………。


ん?


遠くから悲鳴のような声が聞こえる。森との境目あたりに目を凝らすとプレイヤーが敵に囲まれている。

どうしようか?助けにいく?行っても役に立つかな?

違う!行くべきなんだ!!

腰をあげて食べかけのサンドイッチの残りを口に押しこむと走る。






「無理よマナ!貴方だけでも逃げなさい」


剣を構えた少女が叫ぶ。今ならまだ囲まれきっていない。

マナだけでも逃がせるはずだ。

だがマナと呼ばれた少女は動かない。


「嫌よ!雪を置いて逃げれるわけないじゃない!死に戻りするだけで死ぬわけじゃないわ!本当に死ぬんだとしてもお断りよ!!」


<ファイアアロー>


マナと呼ばれた少女の構えた杖から小さな火の矢が、剣を構えた少女、雪に攻撃をしかけようとしたゴブリンに当たる。

獣の声を漏らし、よろめくゴブリンに雪の剣が振るわれ、傷を負わせる。

すぐさま横のゴブリンが剣を振るってくる、剣で受け止める。

先ほどの手傷を負わせたゴブリンにもう追撃はできない、防ぐので精一杯だ。


「そうだな、けれど<本当に死ぬ時>は逃げてもらわないと困る」


このまま囲まれて体力とスタミナ、MPが追いつかなくなったら死んで神殿に戻されるだろう。

まだデスゲームではない、だから今はこれで良いかと思う。

周りを囲むゴブリンの輪が狭まってくる、次の攻撃はさばけるだろうか?

ゴブリンが身を屈め、前傾姿勢をとり、踏み込もうとした瞬間に

ザシュっと剣がゴブリンの腕を切り落とし、転がる。

雪が攻撃したのではない、攻撃するほどの余裕はない。


「大丈夫ですか?!」


先ほど蜥蜴を狩っていた初心者の子だ。

なぜ、ここにいる?なぜゴブリン相手に助けにきた?

ゴブリンはlv5-10、今では強化されたせいで20lvは無ければ相手にできない。

蜥蜴におっかなびっくり戦ってる程度の初心者では無理なのだ。


「なにやってるの、貴方逃げなさい!!!」


助けにきたのは、少し戻った所でミニリザードを狩っていた初心者の女の子だ。

ゴブリン相手に戦えるわけがない。

巻き込むわけにはいかない、そう思ってキツメに叫ぶ。




「大丈夫です!!!」


そういって剣士の少女の横に並ぶように立つ。

ゴブリンが8匹、結構厳しいと思う。

けど、出来るはずなんだ、師匠も言っていた、やりもしない前に諦めるなと。

先ほど手傷を負わせたゴブリンは、こっちにきそう。

ここに来るまでみていた感じなら、このお姉さん2人なら3匹は相手にできると思う。

だから、あと4匹の注意を引きつければいい。

頭の中で思い出す、憧れの黒盾姫。彼女のCMと動画に憧れてRCOを始めた。

そして日本の名もない道場の剣術を通信教室で習った。

その師匠は言っていた


君がたまにする動きがある、憧れの人と言っていた人の動きだろう?

だけど、その動きは仲間を守っているような動きだよ?1:1でするような動きじゃない。

猿真似というのは、見下される。けどね、そんなことをいえば

武術なんて猿真似だ、昔の誰々が考えた動作を繰り返し覚えこむだけだ。

ならなぜ、道場があって何を教えるのか?気構え、精神と言われるものだ、動作だけできてもだめだよ。

どういう状況で何を考え、どういった動作をするか、またそういう状況でどういった動作が必要になるか?

うちの流派に逃げるなら戦って死ねと言う事も他の剣術の技を使用するなという教えもない。

だけどね、真似るなら、その本質を理解するんだよ。その動きはなぜか?なにがあるのか?をだ。

それを理解すれば、それは贋作ではない、本物となるよ。


それから動画サイトで必死に見た。そして考えた。

だから、完全じゃないけど、不恰好だけど、今の僕ならできるはず!

掛け声を上げる。

こちらに気を向けたゴブリンの腕を斬りつける。

武器を構えるゴブリンの懐に飛び込み、武器を震えなくして、斬りつける。致命傷は与えなくていい

こっちに注意を向けさせて引き寄せればいい。

荒々しく力任せに剣を叩きつけて、よろめくようにして避ける。

敵のいるであろう位置を予想して身体をよじる。

そして、守る対象から引き離していく。

それは流れるような動作、まるで踊りを踊るように魔物の中を舞い、攻撃していく

時折敵につっかえ、足が追いつかないが。

自分は5匹のゴブリンに囲まれ、少し離れた場所で2人のプレイヤーがゴブリン3匹と向かい合う。

狙った通りの形になれた。


<エンチャント・マジック>


ばちっと小さな火花が散って剣に魔力を纏わせる。

RCOの前衛なら誰もが最初に取るスキル、不死者なんかの魔力や属性を帯びた武器でないと傷つかない

敵にダメージを与えるためのスキルだ。


敵の攻撃を受け止め、弾く。

弾く動作に併せて敵の腕を切り裂き、少しでもいいダメージを与えていく。

それに、こういった小さな傷のほうが相手を怒らせて、向こうに行かせるのを防ぐことができる

ちらりっと向こうを見ると3匹相手ならなんとかなるのだろう、互角に戦っているようにみえる。

5匹ならこっちもなんとかできそう。

だけど、違う。ここで5匹に良い戦いをして助けを待つんじゃない、こっちを終わらせて向こうに助けに行くのもちがう

何よりも仲間の負担を減らす。黒盾姫の行動の本質はそうだった。

鎧のベルトから投げナイフを取り出して、攻撃してくるゴブリンの攻撃を避けながら

身体を回して少女の相手をしているゴブリンに投げつける。

投げナイフは、振り上げたゴブリンの手に刺さり、声をあげてゴブリンが体勢を崩す。


「雪!!!」


雪と呼ばれた少女が、その隙を見逃す事無く剣を振るいゴブリンに攻撃を加える。

HPを示すバーが半分を切り、ゴブリンが武器を取り落とす。


<フレイムアロー>


「これで、終わりよ!」


魔法使いの少女、マナが杖を振るって火の矢を放ち、ゴブリンの顔面に直撃する。

燃え上がった炎がゴブリンの顔を覆う、肉の焦げる嫌な臭いが立ち込め

ゴブリンがそのまま崩れ落ちて光の粒子となって消えていく。


よし、向こうはこれで2匹!

振り下ろされてくる敵の剣を受け止める。

捌きそこねた剣が腕を掠める、服が避けて傷が走り、血が溢れる。

痛い………けれど、ここで頑張らなきゃ!!!

左手で腰のベルトからポーションを出して飲む、飲みながら右手だけで剣を振るう。

当たらなくてもいい、牽制になればいい。

怯むようにゴブリンが少し後ろに下がる間にポーションを飲み切る。


「僕も……できるんだ!」


ルードヴィッヒ君は、

RCOのCMで見たプレイヤーに憧れて、ゲームを始める前に

剣を使うなら、基本とか知らなくてはいけないよね?と

ネットの通信教育の剣術教室を受けています。

実戦が主なので派手ではなく、あまり流行っていない日本の流派です。

習い始めて、それほど時間は立っていませんが……

道場エピソードは、まとまれば番外編として載せようかな?と思っています。



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