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穏やかな彼  作者: ジャンガリアンハムスターは世界最強種
3/12

ダイヤモンドは4月の誕生石

いや、プロポーズされたのは、すごく・・・すっごく嬉しいんですけど。

驚きと、恥ずかしさで一杯になる。

(友人として)お付き合いしてみて、見た目のかっこよさだけでなく、感情のムラの無さ、面白さ、優しさなど内面にもとても惹かれて、自分の気持ちは恋心だと気付いたのは最近。

この人となら、私はどんな嫌なことがあってもやっていける。背中を合わせて戦っていけるなあ、と思っていた。



恋愛初心者の私は、友人関係を壊してしまうのが怖くて告白なんて出来るわけがなかった。

初めて男性とお付き合いしたのは、中学3年の時だが結局は1年後に振られてしまった。そのことが私を恋愛に臆病にさせており、性格はペシミストで、うじうじしている。平均より縦に長かったり、横に太かったりで、外観も異性から好かれるタイプでは無い。

一方彼は、本当に女性の扱いが上手だった。

私の恰好を褒めてくれ、気を使ってくれる。一緒に歩いている時、周りの女性の視線を感じることが多いが、彼はそういう意味で他の女性に目を向けたことは一切無かった。過度に触れてくることは全くない。人ごみの中では、向こうが手を差し出し、私に手をつなぐか選択権までくれる。実家暮らしの私の家まで、車で送ってくれたりもする。

最近は、おでこや頬に挨拶のキスをしてくれるほどフランクになった。(さすが、渉外担当だけある。)




真剣にお付き合いを申し込まれたよぅ!

いや、これはもしかして私をからかっているんじゃ…。

これは冗談ですよね?とも思うが、真剣な顔だったし。


よし!

相手の出方を見てみよう。







************************************






私の知っている藤原さんは、とても穏やかで、それに穏やかで、または穏やか・・・なのに!!!

返事がやけに下半身事情ばっかりだったなぁ。

露出が多いのはダメって、この場合はどういう意味だろう。

普通は、「君を他の男の目にさらしたくない」という意味だろう。

いやいやいや。

それとも私仕様で、「ぽっちゃりなんだから自重しろ」ということだろうか。

多分、彼の返事は冗談だったのだと結論が出た。

今日は偶の休みで、昨日まで連日仕事漬けだったと聞くし。

いや、だってそうでしょう。藤原さんは29歳の働き盛り、イケメン、エリート、なんですよ?

佑子ちゃん情報によると、社内の女性社員は勿論、お客様からもアピールされることも有り。

顔広いし。お付き合いで、クラブやごにょごにょにも詳しそうだし。

もしかしたら、これは、私からの告白に対する先制パンチだったのかもしれない。

「お前から告白されても迷惑だから」的な。

私が、藤原さんに惹かれている事に気付いていたんだな。



藤原さんが、立ち上がる。

この話はここでお終い。ということらしい。

少なからず傷ついた気持ちに蓋をし、私も立ち上がろうとした。が、その時には藤原さんが私の前で膝を付き、騎士さながらのポーズで箱を取り出して眼の前に置いた。

薄水色の箱―――それは!!

私はゴクリと生唾を飲み込み、箱からケース取り出し、開けた。

ダイヤモンド。

この会社独自のカットとセットの仕方で光を調節し、ダイヤモンドが最も美しく見えるようになっている。

藤原さんの顔を見てみると、彼はいつもの穏やかな顔をしていた。

藤原さんが指輪を取り出し、私の左手の薬指にはめる。


ピッタリだった。


ピシャ―――――ンッッッ!!!!!

私は、まさに雷に打たれたような衝撃をくらった。

本気かぁぁあああああああああああああああ!!!!

 


  

「俺の条件は飲める?」

「あ、はい」

「良かった。ありがとう!」

「えっと。私が最初に出した条件は、良いんですか?」

「うん。いいよ」

「夫婦のお財布を一つにするぞ、って言っているんですよ?」

「そうだね」

「……」

「貴美子ちゃんの条件は、何だか俺が浮気することが大前提だったね。」


あれ?

何か穏やかな笑顔が こ わ い。




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