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第八十五話 西の龍王現る編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
孫左京と龍の馨の兄である通の戦いは激烈を極めました。
あれほど荒れ狂っていた嵐は二人の闘気で吹き飛び、太陽が顔を覗かせます。
「どりゃああ!」
左京が振り下ろした如意棒を通が受け止め、更に蹴りを繰り出します。
「おっと!」
左京はそれをかわします。
二人の戦いは果てしなく続くかと思われました。
「何をやっておるか、お前達!」
天が割れるかと思えるくらいの大音量の声が聞こえます。
あれだけ暴れていた通がビクッとして動かなくなりました。
「聞いた事がある声だぞ」
左京も動きを止めました。
「通、修行を抜け出してそんな所で何をしておる?」
声が言います。途端に通は土下座をして、
「父上、申し訳ありませぬ! お許し下さい!」
すると天から金色の龍が降りて来ます。
左京はそれを見て、
「げげ、西の龍王か?」
とビビります。
左京は昔、龍王の宮の柱の一本である如意棒を盗んだのです。