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第八百十一話 美子の失恋編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指していましたが、第六天魔王を追撃する事になりました。
孫左京は悶絶する魔王を見て、
(何だ、こいつもそこが急所か)
と思いました。
「左京さん!」
大金星を挙げた美子が如意棒を左京に投げます。
「美子ちゃん、これは美子ちゃんが使ってくれ。俺にはこいつがあるから」
左京は樹里から授かった飛竜杖を見せました。
「そうなんだ」
悲しそうな顔になる美子です。
(やっぱり勝てないや、樹里様には)
美子は意を決して左京から如意棒を受け取ります。
「おのれ」
痛みが引いた魔王が美子を睨みます。
「許さぬぞ」
魔王は凄まじい妖気を放ちました。
「危ない!」
左京が美子を庇い、きんと雲に乗せます。
「許さぬのは我らも同じだ!」
女媧と霊媚阿壇が迫ります。
「お姉さん、許して」
魔王が美少年の顔で言いますが、
「同じ手が効くか!」
二人の女は激怒しました。