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第七百四十三話 額田王の話編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指していましたが、今は東に来ています。
孫左京達は額田王がいる所まで辿り着きました。
「私が姫です」
声がしたのは洞窟に鉄格子を取り付けた監禁室でした。
「おお!」
左京は驚きました。
確かに額田王は樹里にそっくりです。
但し、左京の守備範囲からは外れています。
「まだ子供か」
姫はどう見ても十歳くらいです。
「リックが喜びそうね」
美子が言いました。
「養女にしたい」
河東真君が言います。
白い目で見る左京達です。
「あなた方は私を助けに来てくださったのですか?」
額田王が言いました。
「そうです。蘇我入鹿は討たれました。もう大丈夫です」
美子が言うと、額田王は、
「違います。黒幕は中臣鎌足と飛騨の宿儺太郎です」
「何ですって?」
左京達は驚愕しました。
「鎌足は宿儺太郎と共謀して入鹿を討ち、私の愛しい人の大海人皇子様を討つつもりです」
額田王は悲しそうに言いました。