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第七百二十六話 飛騨の怪物編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指していましたが、今は東に来ています。
飛鳥の都の権力者である蘇我入鹿の邸に招かれた樹里一行です。
「実はここから東に行ったところにある飛騨の国に怪物がおるのです」
入鹿は言いました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。
「おお!」
孫左京は興味津々です。
「そいつを退治して欲しいのです」
入鹿は樹里の手を取って言います。
「お師匠様に触るな!」
左京が入鹿の手をはねつけると兵達がなだれ込んで来て一斉に左京に弓を向けます。
「下がれ」
入鹿はニヤリとして命じました。兵達はサッといなくなりました。
「如何でしょうか、お坊様」
入鹿は樹里を見ます。
「お師匠様、危険です。やめた方が……」
蘭が囁くと樹里は熟睡していました。
唖然とする蘭と美子です。
「すみません、寝てました」
樹里は言いました。
「お聞き届けいただけない場合は」
入鹿の指示で兵達が亜梨沙と遊魔を取り囲みます。