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第六百九十七話 リックの小冒険その伍編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指していましたが、今は東に来ています。
リックは何とか自称真知子さんを助けられないかと思案しました。
「異国の方、貴方のそのお気持ちだけで十分です。どうぞお逃げください」
真知子さんのその言葉と涙に、リックは決意しました。
「取り敢えず、逃げるにゃん!」
真知子さんをスッと抱きかかえ、リックは櫓を飛び降ります。
「む? 猫め、我が生け贄をどこへ連れて行く気だ?」
八つの頭の蛇がリックを追いかけて来ます。
「そうにゃん!」
リックは起死回生の策を思いつきました。
「おねいさーん、チューするにゃん」
リックは真知子さんにキスを迫りました。
すると、
「お前様!」
どこからともなく遊魔が現れて、リックに飛び膝蹴りが決まります。
「にゃん!」
リックはその衝撃で、真知子さんを抱えたまま飛んで行きます。
奇想天外な脱出策です。
「うぬでも良い。我が生け贄となれ!」
蛇は遊魔に襲いかかりました。