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第六百九十五話 リックの小冒険その参編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指していましたが、今は東に来ています。
猫又のリックは単独行動をして自称真知子さんと出会いました。
真知子さんは神の生け贄に捧げられていて高い櫓の上にいました。
「神様が現れるにゃんか?」
リックは俄に曇り始めた空を見上げます。
いかにも何か出て来そうな雲行きです。
「貴様、何奴だ? 我が贄を奪う者か?」
雷鳴のような大きな声が辺りに響きます。
「違うにゃん。僕は孫左京という猿に言われて貴方に猿の言葉を伝えに来たにゃん」
リックは恐ろしさのあまり嘘を吐きました。
「孫左京だと?」
神の声が尋ねます。
「そうにゃん。お隣の国にいる乱暴者の猿にゃん。自分が一番強いと思ってるにゃん」
「身の程知らずの阿呆か」
神の声が笑ったようです。
「そうにゃん。でもそいつは貴方を軽くやっつけると言ってたにゃん」
「何だと!?」
八つの頭の巨大な蛇が山の向こうから現れました。
リックは卒倒しそうです。