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第六百九十一話 八頭の蛇編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指していましたが、今は東を目指しています。
樹里達の乗る大型きんと雲はたちまちのうちに樹里が暮らしていた国を通り過ぎ、倭の国にさしかかりました。
「領空侵犯ですか?」
樹里は笑顔全開で言いました。
「この時代にはそんな言葉ないです、お師匠様」
蘭が項垂れます。
「天界で倭の国に恐ろしい魔物がいると聞いた事がある」
存在感の欠片もなかった河東真君が突然言いました。
「お前の顔の方が恐ろしいだろ」
孫左京が言いました。
「うるせえ!」
河東真君は切れました。
「倭の出雲と言う国に八つの頭を持つ蛇がいると聞いたぞ」
「八つの頭の蛇?」
俄然興味が湧く孫左京です。
「その蛇は素戔嗚尊が退治したでしょ?」
ネタ晴らしをする亜梨沙です。
「いや、その子供がいたのだ。今出雲は大変な事になっている」
河東真君は更に奥の手を出して来ました。
「結局出鱈目にゃん、この話は」
リックがボソッと言いました。