670/1000
第六百七十話 狼の意地編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
露津狗は亜梨沙の言葉で奮起しました。
決して「大きい」と言われたせいではありません。
「そうなんですか」
樹里が地の文に納得しました。
「犬風情が偉そうにするな!」
露津狗の中の俯炎驪琉が雄叫びをあげます。
「ぐあああ!」
毛屡辺魯棲も牙を剥いて威嚇します。
「ひいい!」
孫左京は完全にビビッています。
「び、びびってねえし!」
誰かの真似をして惚ける左京です。
「これは見ものだな。狼対犬か」
世無蛾屡弩が言いました。
(狼族の名にかけて、決して負けられぬ!)
露津狗は毛屡辺魯棲を睨みました。
「この隙に」
ようやく歩けるようになった左京は世無蛾屡弩に近づきます。
「があ!」
するともう一頭毛屡辺魯棲が世無蛾屡弩の中から現れました。
「うへえ!」
左京は少しちびってしまいました。
「一頭だけだと思うなよ」
世無蛾屡弩は高笑いしました。