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第六百六十九話 毛屡辺魯棲編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
孫左京と美子はこっそり世無蛾屡弩の背後に回り込みます。
「おらあ!」
左京が如意棒で殴りかかります。
「愚かな猿よ」
世無蛾屡弩が言いました。
「何!?」
世無蛾屡弩の黒い身体から、ヌッと何かが飛び出して来ました。
「ぐおお!」
それは三つの頭の巨大な犬です。
左京の十倍程の大きさです。
「ひい!」
相手が犬とわかりビビる左京です。
「ビビってなんかいねえぞ」
強がる左京ですが、足が震えています。
「毛屡辺魯棲ね?」
美子が犬を見て言いました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。
「地獄の番犬と言われている最強の犬だ」
狼の露津狗が言います。
「でも、狼の方が強いんでしょ?」
亜梨沙が尋ねました。
「当然だ!」
燃える露津狗です。
「がああ!」
力を解放し、巨大化しました。
「凄いわ、露津狗、大きい」
誤解をされそうな亜梨沙のコメントです。