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第六百三十九話 鷺基対三清
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
鷺基は遂にかつての力を完全に取り戻しました。
すでに欧殿をも凌駕するような妖気です。
(やっべー、絶対殺される)
嫌な汗が止まらない孫左京です。
「猿、お主は逃げよ。こやつは我ら三清が引き受ける」
太上老君が悲愴感溢れる顔で言います。
「待てこら」
逃げようとしていた元始天尊を捕まえる露津狗です。
「ジジイ……」
左京は老君の表情を見て鷺基がどれほど強いのか知りました。
「お主には樹里を守るという使命があろう。それを果たせ」
霊宝天尊が酒の匂いを全くさせずに言います。
「わかった。後は頼む」
左京はきんと雲に樹里と璃里を乗せてサッサと飛び去ります。
「こら、俺も残ると言わんか!」
老君が切れました。
「心配しないで、お爺ちゃん達。私が残る」
美子が言います。
「俺も残るぞ」
露津狗が言います。
「その気持ちだけ受け取っておくよ」
三清が一緒に鷺基に向かいました。