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第六百三十五話 悲しき運命編

 御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。


 虚ろな目で鷺基を見る鷺侘です。


「姉上?」


 鷺基は鷺侘が自分の声に反応したと思い、微笑みました。


「はあ!」


 すると鷺侘は一足飛びに鷺基に接近し、彼の胸を槍で貫いてしまいました。


「グホ……」


 鷺基は口から血を吐きました。


「鷺基!」


 一番早く反応した孫左京が鷺侘に殴りかかります。


「く!」


 しかし、その行く手を欧殿の愛馬である鬆令符爾流すれいぷにるが遮ります。


「邪魔するでない、下等な猿よ」


 欧殿がニヤリとして言い放ちます。


「何だと!?」


 左京は欧殿を睨みました。


「ぐ……」


 鷺基は何とか槍から抜け出しました。


「鷺基さん」


 樹里が声をかけます。


「大丈夫です、お師匠様」


 鷺基は苦しそうな顔を樹里に向けて言いました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


「貴女の相手は私よ!」


 美子めいずが鷺侘に斬りかかります。


「ふお!」


 鷺侘は美子の剣を槍で受けました。

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