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第六百三十三話 鷺侘対美子編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
目も虚ろな鷺侘を見て、鷺基は叫びました。
「姉上!」
しかし、鷺侘には鷺基がわからないようです。
「さあ、鷺侘よ、その忌ま忌ましい霊獣の娘を屠ってしまえ!」
欧殿が命じます。鷺侘は頷き、美子を見ました。
「貴女は……」
美子は鷺侘の様子が変なのに気づき、樹里を見ました。
樹里は黙って頷きます。美子は頷き返し、
「相手にとって不足なし! 参られよ!」
と剣を構え、盾を掲げます。
「出る幕がなくなりそうだ」
孫左京は妙な心配をしています。
「お師匠様、姉上は……」
鷺基が樹里に駆け寄りました。
「大丈夫ですよ。美子さんに任せなさい」
樹里は笑顔全開で言いました。
「はあ!」
鷺侘は気合いを入れ、右手に槍を出します。その先は三つに分かれていて刃の間に稲妻が走っています。
「あれは、雷神の槍!」
蘭が目を見開きました。
「何それ?」
亜梨沙がバカな質問をしました。