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第六百十三話 姉弟の別れ編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
宮殿の庭で鷺基はようやく正気を取り戻しました。
「姉上、私が嫌いになったのか?」
鷺基が悲しそうに尋ねます。
「違うわ」
鷺侘も辛そうです。
「真実なのか?」
「ええ。ごめんなさい、鷺基」
鷺侘は泣きながら鷺基に抱きつきます。
「姉上」
鷺基は優しく鷺侘を押し返します。
「ならばしばらく離れて生きよう。時間をくれ」
「鷺基……」
そんな事を言われる気がしていた鷺侘です。
「では」
鷺基は飛び立ちました。
「鷺基……」
鷺侘は鷺基が飛び去った空を見上げていました。
その頃孫左京は樹里を乗せてまだ飛んでいました。
(このままでは失血死する)
左京は身体の三分の一の血を失いました。
「おーい、ここじゃ」
そこに元始天尊と霊宝天尊が飛んで来ました。
「道に迷っての」
元始天尊が苦笑いして言います。
「俺達はあんたらが知ってると思って追って来たんだぞ! どうするんだよ?」
左京は呆れました。