594/1000
第五百九十四話 欧殿の使者編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
樹里達は再び西へと進み始めます。
そこへ一人の薔鏤鬼吏が飛んで来ました。
「お前は、素久琉堵!」
鷺侘が言いました。素久琉堵と呼ばれた女性は鷺侘に跪き、
「お懐かしゅうございます、鷺侘様」
「どうしたのだ、こんな遠くまで来て? 国で何かあったのか?」
鷺侘が尋ねます。素久琉堵は鷺侘を見上げ、
「欧殿様、ご復活の由に存じます」
鷺侘と鷺基、そして他の薔鏤鬼吏達は仰天しました。
「ねえ、なんて言ったの?」
語彙が少ない亜梨沙が蘭に尋ねます。
「彼女達の神様の欧殿は一度死んだのだけど、甦ったって事よ」
蘭は小声で言いました。彼女は露津狗を気遣ったのでした。
露津狗は複雑な表情です。自分と合体した俯炎驪琉こそが、欧殿を食い殺した張本人だからです。
「急ぎ国許へお帰りください」
素久琉堵が言いました。鷺侘は樹里を見ました。




