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第五百八十三話 美衣由の言い分編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
美衣由は激怒しています。
「どこまで惚けた雌猫だよ!? それにあんた、リックの力で猫又になったんだろ? 何て図々しいんだ!」
止め処なく怒りが湧き上がる美衣由です。
「遊魔はあ、人間になりたかったんですう」
遊魔はボーっとしたままで言います。
「意味不明な事言うな!」
美衣由はますます血管が浮き上がって来ます。
「リックの許嫁はあたいなんだ! あんたは消えるか、ここでくたばるかだ!」
美衣由は再び鋭い爪を出し、遊魔に襲いかかろうとします。
「遊魔を殺めればリックさんの寿命を縮めますよ」
璃里が言いました。美衣由は璃里を睨みます。
「あんた、この雌猫の飼い主だね。どういう意味だい?」
璃里は笑顔全開で、
「リックさんは自分の命を分けて遊魔を猫又にしたのです。遊魔を殺めれば、リックさんの命を削る事になるのですよ」
「何!?」
美衣由はショックを受けたようです。




