御徒町樹里の西遊記（四百文字小説）

伏羲

第五百七十三話 女媧の敗北編

　御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。

　女媧（じょか）は鷺侘達に白い液体をかけられ、目を見開きます。

「まさか、これは……？」

　震え出す女媧です。

「違うにゃんよ。そんな事したら、十八禁……」

　更に後から現れたリックが言いかけ、遊魔の踵落としで倒れます。

「それは大根をすって作った汁です」

　樹里が笑顔全開で答えます。

「やはりそうか。ならば我は……」

　女媧の鱗に書かれた光明真言が大根の汁で消えて行きます。

「大根の汁は墨を消す事が出来るのよ」

　亜梨沙がドヤ顔で言うのに呆れる蘭です。

「ぬうう……」

　女媧の身体を溶かされた墨が流れ落ちます。

「女媧……」

　その様子を見て、伏羲（ふくぎ）が呟きます。

　蚩尤（しゆう）とまさに雌雄を決しようとしていた孫左京と牛魔王でしたが、

「坊主め！」

　蚩尤がいきなり飛翔したので、仰天しました。

「まずいぞ、孫！　奴はお師匠様の所に行くつもりだ」

「くそ！」

　二人は蚩尤を追いました。