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第五百七十話 牛魔王の因縁編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
牛魔王は激怒しています。
「確かに貴様は俺と同じ牛魔族。しかし、俺は貴様ほど腐っておらぬわ」
大見得を切って大鉈を振り回す牛魔王です。
「見直したぞ、兄弟」
孫左京が感動して言いました。
「笑わせるな。貴様如きが加勢に来ようとこの俺の敵ではない」
蚩尤は高笑いします。
「わかっておらぬな! 我らには守るべきものがあるのだ! 貴様にはそれはない! この違いは決定的だ」
何故か自分に酔いしれている牛魔王です。左京は唖然とします。
「いや、あるぞ」
蚩尤は自分の右腕を見せます。
そこには、
「喧嘩上等 女媧命」
と刺青が彫られていました。仰天する牛魔王と左京です。
「俺は女媧様のためなら死ねるぞ!」
牛魔王は歯軋りします。
「まずい。俺は公主のためには死ねない」
その言葉を耳にして左京は目を細めます。
「後で大変だぞ、兄弟」
牛魔王はギョッとしました。




