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第五百二十四話 天狐の思い編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
天狐の問いかけに悩む璃里です。
「ドロップアウトはできませんか?」
樹里が笑顔全開で尋ねます。
「しつこいぞ!」
天狐は樹里に怒鳴りました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
「天狐様の時間稼ぎに協力しているつもりなのですが」
その言葉に天狐はギクッとします。
鴻均道人と太上老君達が驚いて樹里を見ます。
「千里眼をお持ちの天狐様であれば、私達の未来も見えていらっしゃるはずです。だから私達をここに引き止めているのではないですか?」
樹里はまともバージョンが起動したようです。
「どういう事だ?」
孫左京には意味がわかりません。
「私に訊かないでよ」
当然亜梨沙にもわかるはずがありません。
「そういう事なの」
蘭と鷺侘は顔を見合わせ、ゴクリと唾を飲みます。
「さすが御徒町樹里だ。そこまで見抜いておるとはな」
天狐はニヤリとして言いました。




