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御徒町樹里の西遊記(四百文字小説)  作者: 神村 律子
毎度お馴染みの芭蕉扇
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第三十三話 芭蕉洞へ編

 御徒町樹里はありがたい教典を授かるために西を目指しています。


 火焔山のせいで一行は暑くて参っています。


 火焔山を鎮めるには鉄扇公主の扇で扇げば良いのですが彼女は牛魔王の妻です。


 牛魔王は泣く子はもっと泣き、寝た子も起きると言う妖怪です。


「左京って牛魔王とは友達じゃなかった?」


 豚の妖怪亜梨沙が昔の事を思い出します。石猿の孫左京は、


「二人は喧嘩中なんだ。牛魔王の友達の俺が行っても貸してもらえないよ」


「役立たず」


 河童の蘭が罵ります。


「うるせえ!」


 左京は苛つきました。


「私が二人の仲を修復しましょう」


 樹里が言いました。


「お師匠様がまともな事を言ったわ、左京!」


 亜梨沙が仰天します。


「鉄扇公主の邸に連れて行って下さい」


 樹里が言います。すると左京は、


「わかりました、お師匠様」


と言うなり、何故か馬に変身します。


「何で馬になるのよ?」


 訝しそうな顔で亜梨沙と蘭が左京を見ます。


「別にィ」


 下心丸出しの左京はトボケました。

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