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第三十一話 火焔山編
御徒町樹里はありがたい教典を授かるために西を目指しています。
ネズミの妖怪を更生させた樹里一行はまた旅を始めます。
「この先には火焔山と言う一年中溶岩を噴き出している山があります。そこは難所ですから気をつけて下さい」
金ちゃんが言います。
「そうなんですか」
樹里は笑顔で答えました。
「何故そんな事を教えるんだ?」
石猿の孫左京が尋ねます。
「私達は間違っていたのよ。可愛い女の子を憎んでも私達は救われないの」
銀ちゃんが答えます。
「そうか」
左京は微笑んで応じました。
樹里達は双子妖怪と別れ、西を目指しました。
火焔山の麓です。
鉄扇公主は風の化身で芭蕉洞という洞窟に棲んでいます。
そして「芭蕉扇」と呼ばれる巨大な扇を持っています。
「旅の僧がここに向かっている?」
手下の報告に公主は目を見開きました。
「確か孫左京が同行しているはず」
公主はギュッと拳を握りしめました。