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第二百九十五話 孫左京の戦い編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
孫左京は鷺基を睨み、
「手出しするなって言ったはずだ! こいつは俺の獲物なんだからな」
鷺基は変化を解き、
「そうだったな」
と鷺侘と共に離れた。
「良いのか、鷺基? 猿だけでは……」
鷺侘が言うと、
「心配いらない。あの猿、お師匠様を守ろうと思うと、我らも及ばぬ力を発揮する」
「所謂スケベ心か」
鷺侘の身も蓋もない言い方に苦笑いする鷺基です。
そのスケベ心の権化である左京は暴走し始めた亜磁堕覇阿禍に接近します。
「俺の七百九ある変化術の中の最強の術でてめえをぶっ倒してやるぜ!」
それを聞いた亜梨沙が、
「何で七百九なの?」
「きっとあの悪い猿が七百八の術を持っているからよ」
蘭が言いました。
「変なところで対抗心剥き出しなんだから」
亜梨沙は呆れて肩を竦めます。
「それよりお師匠様が休める所に行かないと」
馨は背中でグッタリしている樹里を見て言いました。