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第二百七十三話 露津狗、失恋する編

 御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。


 超イケメンは鷺侘(ろた)と抱き合いました。


 露津狗は呆然としています。


「お互い頑張りましょう」


 馨が囁きます。露津狗は黙って頷きました。


「お名前は?」


 蘭と亜梨沙がにじり寄って尋ねます。


鷺基(ろき)です。鷺侘は我が姉です」


「えっ?」


 いけません。姉と弟が恋人だなんていけない事です。露津狗は立ち直れません。


「王家の紋章ですか?」


 樹里が尋ねました。


「誰がメンフィスとアイシスだ!」


 鷺侘と鷺基は切れました。


「我が薔鏤鬼吏(ばるきり)一族は、これが普通なのだ」


 鷺侘が言いました。そして樹里に跪き、


「この後もお師匠様のために戦います」


と言いました。鷺基もその隣に跪きます。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じました。


「羨ましいにゃん」


 リックが呟きます。


「何か言いましたか、お前様?」


 遊魔が尋ねます。


「何も言ってないにゃん」


 リックは素早く誤摩化しました。

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