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第二百三十三話 思わぬ奇襲編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
馨は銀の一族の事を調べるために父である西の龍王の宮に向かいました。
「亜梨沙、大丈夫かしら?」
蘭は心配そうです。樹里が、
「心配ですか?」
「心配なんかじゃないですよ。あいつが左京の足を引っ張ってるんじゃないかって……」
蘭は赤面して苦しい言い訳です。
「お猿さんの事が好きなんですね」
樹里が直球を投げて来ました。蘭はギクッとして、
「違いますよ! 左京はお師匠様しか見てません」
「そうなんですか?」
樹里が酷く驚いたので蘭も驚きます。
「ええ!? 気づいてなかったんですか?」
「はい」
樹里は笑顔全開です。蘭は左京の事を哀れみました。
その時です。
「危ない!」
蘭は矢が飛んで来たのに気づき、樹里を庇って家の陰に隠れます。
「銀の一族が?」
薔鏤鬼吏達の別働隊が来たようです。
「お前達も始末せよとのご命令だ。死ね!」
薔鏤鬼吏達は次々に矢を射かけて来ました。