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第二百十五話 城壁の町編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
樹里達は行き倒れのイケメンを助け、城壁を潜り抜けて町に入りました。
そこへ孫左京と蘭が戻って来ました。
「宿屋がありました」
左京はそう告げながらイケメンを見ます。
「何です、そいつ?」
イケメンは樹里の代わりに馨にうつ伏せに乗せられていて、馨は不満そうです。
「イケメンよ」
亜梨沙が嬉しそうに言います。
「違うって。何者なんだよ、そいつ?」
亜梨沙は肩を竦めて、
「わっかりませーん」
「欧米か!」
古い突込みをしてしまう左京です。
たくさんの兵達が城壁の外に出て、あちこち見回します。
「何があったのですか?」
樹里が兵士の一人に尋ねました。
「西から来た魔物がこの町の近くに現れたのです。そいつを探しています」
兵士は樹里が僧侶なので言葉が丁寧です。
彼は会釈をして立ち去りました。
「あ」
城壁の門が閉じられます。
「魔物相手じゃ、城壁なんて意味ねえぞ」
左京が言いました。