203/1000
第二百三話 美子の正体編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
美子は樹里達を見渡して、
「お坊様のお察しの通り、私は霊媚阿壇の娘です」
左京と馨とリックが驚きます。
「母は私が人間に憧れて人間の姿になったのを怒っているのです」
「それで人間は滅びるべきだと? 勝手だな」
左京が起き上がって言いました。
「それだけではありません。父が人間の女性に心を奪われたのもいけないのです」
「鯨か?」
左京が尋ねます。
「サイです」
「サイ?」
左京達はサイを知らないようです。
「フレイさんの元婚約者ですか?」
樹里が言います。
「マニアック過ぎてボケ切れてません」
左京が突っ込みます。
「父の名は部秘模洲。この世の全てと同じだけの重さがある魔物です」
美子が答えました。
「お坊様、父に会って下さい。母と仲直りするように説得して下さい」
美子が涙ぐんで言います。
「僕からもお願いするにゃん」
リックが言いました。