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第百六十話 樹里、真言を授かる編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
孫左京は西の龍王に如意棒を返しました。
そして代わりに欲しい物があると言います。
「何が欲しいのだ?」
龍王は警戒して尋ねます。馨も心配そうです。
「お師匠様に龍王の真言をくれ。それだけだ」
左京は跪いて言った。
「お猿さん」
樹里がウルウルした瞳で左京を見ます。
龍王はニヤリとして、
「わかった。良かろう」
「この申込書に必要事項を記入して下さい」
馨が書類を差し出します。左京は唖然としました。
「そうなんですか」
樹里は書類に書き込みます。
「本来であれば有料だが今までの活躍と柱を返した事で無料だ」
龍王が恩着せがましく言うと馨が、
「有料なんて嘘ですから気にしないで下さい」
「バラすな、阿呆!」
龍王は馨に怒鳴りました。
「八大龍王の真言は、オンメイギャシャニエイソワカじゃ。それを唱えればたちまち洪水が起こり、敵を呑み込む」
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。