132/1000
第百三十二話 リックはいずこ?編
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために西を目指しています。
猫のリックは九尾の狐の「酒池肉林」の誘惑に負け、加担する事を約束しました。
そうとは知らない樹里達は、リックの事を心配しています。
「あの馬鹿猫、どこに行ったんだ?」
孫左京が苛ついて言います。
「左京が言い過ぎたのよ」
自分も十分に酷い事を言っていたはずの亜梨沙が罵ります。
「二人共喧嘩しないで下さい」
馬の馨が仲裁します。
「あいつ、敵についたりしないわよね?」
蘭が呟きます。
「やりかねないな。そしたら今度こそ許さねえ。仲間とも思わねえ」
左京が言い放つと樹里が、
「あなた達はどうしてそんなに冷たいのですか?」
と言いました。
「お師匠様のまともバージョンが起動したわ」
亜梨沙が蘭に囁きます。
「猫さんはあなた達に責められて出て行ったのですよ。迎えに行くのが本当の仲間です」
樹里のウルウルした瞳にやられた左京は、
「今から探して来ます」
と宿屋を飛び出しました。