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第十三話 大河の妖怪編
御徒町樹里は旅の僧です。ありがたい経典を授かるために西を目指しています。
「喉渇いた」
石猿の孫左京が馬を引きながら愚痴ります。
すると実は豚の妖怪の亜梨沙が、
「この先に大きな川があるわ」
「そうなんですか」
樹里が笑顔で応じます。
やがて川が見えて来ました。
「大きな川ねえ」
亜梨沙が呟きます。
「大井川ですか?」
樹里が尋ねます。
「お師匠様、国が違います」
左京が突っ込みます。
ふと岸辺を見ると、老いた母親と若い娘が泣いています。
「どうしたのですか?」
樹里が声をかけました。すると母親が、
「この川に棲む妖怪に娘を差し出せと言われて……」
樹里が左京を見ます。左京はそのウルウルの瞳にやられました。
但し樹里が花粉症で目がウルウルなのは内緒です。
「この孫左京様が妖怪を退治してやる!」
左京が言いました。すると娘が泣きながら、
「ありがとうございます。これからもホークスを応援します」
「その孫さんじゃねえ!」
左京は切れました。