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夫3
由里子との交際は、その後も順調だった。
寺田とは、もう目を合わす事もしなかった。
時々何か言いたそうにこちらを見てくるが、勿論無視した。
由里子は明るく優しく、最高の女だ。
その由里子を侮辱した寺田を、俺は許す事など出来ない。
俺の机の引き出しには、雅樹が撮った二人の写真が増えていった。
「んー!ほら、もうちょい引っ付けよ」
交際二年目を迎えたその日、雅樹は二人の記念写真を撮ると張り切っていた。
「もっとなぁ、記念写真なんだから、いつもよりベッタリしろよ。そうだ、由里子、チューしろ、チュー!」
「おい、雅樹!」
たしなめようとする俺の頬を、由里子の手が包む。
「いいじゃない。ねえ、チューしよ」
「ゆ、由里子・・・」
大胆な由里子に、引き寄せられる。
俺と由里子の唇が重なり、雅樹が笑いながらシャッターを押した。