夫22
木曜日、俺は自宅に仕事を持ち帰った。
「先に寝てくれ」
由香里に言って、俺は自室に籠もる。
本当は由香里との時間を最優先にしたいが仕方がない。
生活するにはお金が掛かる。
由香里が働かなければいけないような状態にだけは、絶対にしたくない。
深夜、やっと仕事を終わらせ、俺は伸びをする。
明日の準備をしながら俺はふと、クローゼットに目をやる。
最近、由香里は益々由里子に似てきた。
ベッドの中で俺を誘う笑顔が特に似ている。
久し振りに、見ようか。
結婚してから一度も見ていない由里子の写真を出すため、俺はクローゼットを開けた。
しかし、積まれた荷物の一番下の箱を取り出した時、俺は違和感を覚えた。
軽い・・・?
箱の中には写真がぎっしり詰まっている。こんなに軽い筈はない。
俺はその場で箱の蓋を開けた。
「―――――な!」
無い!写真がほとんど無い!
箱の中には僅か数枚の写真しか入っていなかった。
どうして、誰が・・・誰が?
「由香里・・・」
そうだ、こんな事が出来るのは由香里しかいない。
でも由香里には俺の部屋には入らないように言ってあった。
約束を破った?どうして。
知っていたのか、いつから?
写真をどこにやった?
俺は残っていた写真を持って寝室に行く。
そっとドアを開けベッドの脇に立つと、スヤスヤと眠る美しい由香里を見下ろした。
「由香里・・・」
頬に手を触れると、眉を寄せて薄く目を開ける。
口元に浮かぶ笑み。
伸ばされる両腕。
しかしその腕は途中で力を無くし、ベッドの上に落ちる。
「由香里・・・」
再び眠る由香里を、俺は呆然と見つめた。