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錯覚  作者: 手絞り薬味
3/47

夫1

 初めてだった。

 付き合ったのも、抱いたのも。

 由里子は俺の初めての女だった。




 出会ったのは大学。

 俺の一目惚れだった。

 すらりとした身体、小さい顔、大きな瞳―――――。


 中西由里子はとても美人だ。


 彼女の姿を目で追う俺を、高校からの親友である雅樹は笑った。

「気になるんだったら、声掛けてみろよ」

 しかし社交的な雅樹と違い、奥手な俺はそれが出来なかった。

 第一、俺みたいな冴えない男に、彼女が振り向いてくれるとは思えなかった。

「見ているだけで、いいんだよ・・・」

 そう言う俺の頭を、雅樹はノートでポンポンと叩いた。

「しょうがねーな」

 そう言いながら、ある日突然、雅樹は由里子を俺の前に連れて来た。

「上手くいったら奢れよ」

 俺の耳に囁いて、雅樹は去って行く。

「あ・・・」

 呆然と雅樹を見送り、それから由里子を見ると、彼女は笑っていた。

「ねぇ、話って何?」

「え・・・!と、その・・・」

「もしかして『付き合って下さい』とか?」

「―――――!!」

 目を見開く俺に、彼女はプッと吹き出した。

「何、驚いてるの?面白い。えーと・・・名前、なんだっけ?」

「あ、俺・・・、篤、坂本篤」

「そう、で、どうする?付き合ってみる?」

「え・・・!?」

 付き合う?それも彼女の方から言われるなんて・・・。

「あ、あの・・・」

「どうするの?」

 両手を腰に当て、少し怒ったように言う彼女に、俺は圧倒された。

「ええ・・・と、お願いします・・・」

「うん。じゃあ宜しく」


 そうして実にあっさりと、由里子との交際は始まった。





「良かったなぁ。俺も嬉しいぞ」

 雅樹はまるで自分の事のように喜び、俺の頭を撫で回した。

「そうだ、写真撮ってやるよ」

 最近雅樹は、カメラにハマっている。

 飽きやすい奴だから、いつまで続くかは分からないが、今は色々な物を撮りまくっていた。

「いいよ、そんな」

「遠慮するなよ。中西ー!ちょっと来いよ!ほら並んで」

 そして雅樹は、俺と由里子を並べて写真を撮った。


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