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夫17
疲れている―――――。
学校とお婆さんの看病、そして決まらない就職。
由香里の精神は、ギリギリの状態のようだ。
由香里・・・。
「結婚しよう」
俺は、以前から考えていた言葉を口にする。
由香里は戸惑いながらも、俺の手を取った。
ああ・・・。
この瞬間を、俺は待っていた。
感動に身体が震える。
「幸せにするよ」
今度こそ、必ず。
由香里は俺の目を見て、泣きながら微笑んだ。
お婆さんは俺と由香里の結婚を喜んでくれた。
由香里が高校を卒業したら、すぐに籍を入れる事にした。
「由香里・・・、お母さんにも報告しに行っといで」
「・・・・・うん」
由里子・・・。
あの場所・・・か。
由香里と初めて会ったのは、あそこだったな。
由香里と出会ってから、あの場所には一度も行っていない。
その必要が無くなったから。
俺と由香里は、次の週末に墓参りに行く約束をした。