夫14
アルバイト・・・?
由香里の言葉に俺は驚いた。
何故・・・いや、家計が苦しいのだろう。
しかし、それは駄目だ。
俺は由香里に働いて欲しくない。
また以前のように、危険な目に遭ったらどうするのだ。
ほんの数時間?
その数時間が危険なのだ。
由香里は気付いていないのか?自分がどれだけ人を惹き付ける容姿をしているのかを。
俺は溜息を吐いて考える。
少々頑固なところがある由香里を説得するには・・・。
由香里の祖母は、俺の話に目を見開いて驚いた。
「そんな事が・・・」
由香里が暴漢に襲われた事、偶然通り掛かった俺が助けた事、そしてそれがきっかけで由香里と親しい関係になったと俺は言った。
「お婆ちゃんには内緒にして欲しいと言われていたのですが・・・」
そんな事があったのに、由香里がアルバイトをすると言っていると教えると、お婆さんは眉をひそめた。
「只でさえ女の子の一人暮らしは危険なのに、その上アルバイトなんて、もしまた何かあったらと思うと心配で・・・、前回は偶然助ける事が出来たから良かったのですが、そんな偶然が続く訳ありません」
俺は断言し、お婆さんに由香里のアルバイトを許可しないで欲しいと懇願した。
お婆さんは俺の言う事をあっさりと信じ、頷いた。
最後に、俺が病院に来た事を絶対に由香里に話さないよう念押しして、俺は病院を後にした。
おそらく、これで大丈夫。
由香里はお婆さんの反対を押し切ってまで、バイトする子ではない。
そして・・・、予想以上に、お婆さんは俺を信用してくれたようだ。
思わぬ収穫に口元も綻ぶ。
俺は上機嫌で、車を走らせた。




