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レストア

 ジムニーノマドの修復作業は、兄弟にとって単なる機械の修理以上の意味を持っていた。なんて言ったって、日本に現存しているジムニーノマドはたった1台だけ。


ある晴れた日、二人はまず車を洗車し、細部にわたって状態を確認することにした。ボディの錆は想像以上にひどく、特に下回りの腐食が進んでいた。しかし、和広は細かなところまで丁寧にチェックし、幸広と一緒に修理箇所をリストアップした。


「錆びた部分は削って、新しい金属を溶接しないとね」と和広が言った。


「エンジンも完全にオーバーホールが必要みたいだな。古いものを大切にする心が試される時だ」


と幸広は懐かしそうに微笑んだ。


 翌日から、二人はそれぞれの得意分野を活かしながら作業を進めた。和広はエンジンの分解と修理を担当し、幸広はボディの補修と塗装に取り組んだ。部品は近隣の解体屋やネットを駆使して集め、時には他の車の部品を流用することもあった。

 ふと何かを思い出したかのように、


「オヤジ、きっと空の上でジョージアオリジナルの缶コーヒーを飲みながら見守ってくれてるだろうな」


と和広がしみじみと言った。


「和広、違うって。オヤジの事だ。ピース吸いながら、ジョージアオリジナルを飲みながら『あー、うめぇ~』としか言ってないって」


と幸広が答えた。


 修復は時間がかかったが、少しずつ車は元の姿を取り戻していった。エンジンは再び力強い音を響かせ、ボディは新しい塗装で輝きを取り戻した。ジムニーノマドが再び走り出す日が、確実に近づいていた。


 完成の日、二人は車の前で並び、しばし感慨にふけった。日本に現存する1台のこの車を、兄弟は新たな冒険の相棒として迎え入れたのだった。


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