5/9
草ヒロのジムニーノマド発見その1
険しい山道を進むにつれ、幸広と和広の兄弟は、次第に自然の静寂に包まれていった。鳥のさえずりや木々のざわめきが心地よく響く。
父親の撮った写真とインターネットで見た伝説の草ヒロのジムニーノマドを探し周っていた。
「この辺りだったと思うんだよな、オヤジが撮った写真だと」
と、和広が呟く。
幸広は頷きながら、周囲を注意深く見回した。
「確かに。掲示板ではジムニーノマドがここの林道にあるはずだって書いていたよな。」
和広が
「なんか、そこに車がある!」
と、指をさして叫ぶ。
「どれだ。和広!」
二人は、その車へ近付く。そして、草木をかき分けた。5ドアの草ヒロが、姿を現した。
「和広。これが伝説のジムニーノマドか?」
幸広は、興奮しながら和広に言う。和広はインターネットの画像と見比べ、
「兄貴、残念なお知らせ。テリオスキッドだって…」
「なーんだよ和広。テリオスキッドか…」
「兄貴…ごめん…」
「はぁ~」
幸広は、溜め息をしてがっかりした。