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第92話 ゾンビ犬
近所の俺たちも知っている犬が歩道で死んでいるのを見つけた。
拓也くんはそれを「かわいそう」と言った。
しかし、どうやら様子がおかしい。
犬の体毛は黒くなって、関節から骨を出しながら、コキコキと音を立てて立ち上がった。
「い、いったいなんだっ?」
「これは……」
犬の目玉がぼろんと落ちる。
その犬は数秒震えた後、ぼとりと死んだ。
「えっ?」
拓也くんがこちらを見た。
「なんの怪異か、と言うことか?」
「わかんねぇ?」
「ゾンビだろ」
「ゾンビでいいの……?」
「それしかなくないか?」
「それはそうだけどよ……」
その後、その犬を飼い主に知らせ、庭に埋めた後、一緒に手を合わせた。




