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第91話 米の目玉
白米を炊こうと思い、米櫃の中を見てみると、不思議なものがあった。それを拾い上げてみると、目玉だった。「ぎゃっ」と驚いて、それを落とす。それは、突如ぎょろりと此方を見たので、また叫んだ。そうしていると、東京から帰ってきた一郎くんと隼人がリビングダイニングに入ってくる。
「おかえりなさい、一郎くん。隼人……くん」
隼人は私に一瞥もくれずに、私の足元に転がっていた目玉を拾い上げた。
「なにそれ」
「目玉だ」
隼人は言う。先輩によく似ている容姿で、先輩とは違いとても陰険な子供。
「でもきっとただの目玉ではなさそうだ。この右目は……しばらく預かろう。一郎くん、やること決まり!」
「はいはい。ほら行って来い!」
後に、ふたりの部屋の前を通った際、隼人が一郎くんにあの目玉の正体を語っているのを聞いた。
あれは「米の目玉」という妖怪らしい。
昔から米櫃の中に現れて、米櫃を見た人間を驚かせるのだとか。だからなんだ、という話ではあるが。
やっぱり、血なのか。
あの子も




