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第70話 エクストラムの輝き
黒の輝きの中で何かがこちらに囁いている。まるで産声を上げることなく沈むように。何かがこちらに声を向けている。それが何なのかは皆目見当もつかなかった。しかし、人間よりも、神よりも高位の存在目あるような気がしてならなかった。
──ガシャン……ピカァン──
という音がして、何かが俺の頭の中に入り込んできているようで、俺は不思議な高揚感に包まれる胸の内側から、何かが湧き上がりそうで湧き上がらない。不確かなモヤモヤとしたもの。ほんとうにどうなっているのか、不躾で、下品な感情。
渦巻く炎が唸りをたてた。
「…………」
目を覚ます。ふと右腕が重く感じ、そこを見る。黒い強化筋肉と強化皮膚に包まれた化け物の腕があった。
「なる、ほど。……エクストラムの輝きか」
黒く濁った宝石が右手の中に眠っていた。




