第58話 よこされた2人
北愛子という生徒について、なにか知っていることはないかというのを近所に住んでいた老婆を少しだけ洗脳して聞き出してみたところ、「申し訳ないが覚えていない」というのが全貌だった。当たり前だ。こんな特徴のない地味な子供覚えているわけがない。
「どうすんの?」
「どうするか」
「おい」
「まぁ安心しろ。こういう時に使える人間を知っている」
「誰?」
「虚偽校の皆さんだ」
ということでシラキさんに連絡して、虚偽校のエージェントを来さして貰った。何処かで見たことのある気がする顔だったが、思い出せなかった、が。そこら辺にいそうな主婦とそこら辺にいそうなサラリーマンみたいな男だった。
「サワムラとムラセだ」
「ほーう。名前はどうでもいい。ふたりに何ができるか、だ。ふたりに何ができる?」
「潜入と」
「調査」
「そんなこと俺でも出来るだろ」
「隼人。やめろ」
一郎くんに止められて、怒りを発露させかけていた心がしんと落ち着いた。
「どうしてこの2人なんだ。どうして? どうして? どうして!」
訂正。落ち着いていなかった。
「お前ひとりにやれることを他人にやってもらうことで、お前の手をあけておこうって事だろ? お前もなにかやりたいことがあるはずだから」
「そうか!? ……そうか。怒鳴ってすまない。気が立ってるんだ」
「いいよ。大丈夫」
サワムラさんには学校に潜入して貰い、ムラセさんには盛岡市役所に潜入して貰った。
いい情報が得られればいいのだが。




