第49話 親戚の集まり
正月。
母方の祖父母が家にやってきた。その都合で、伯父さんやおばさん、一郎くんも家にやってきた。泊まるらしい。
「そいで、隼人ォ。冬休みの宿題はちゃんとやったか〜?」
「うん。もう全部終わらせたんだ」
祖父は宮城で不動産屋をやっている。そのせいもあってか、お年玉はいつもぶあつかった。俺は大金を持つのがやけに怖かったから、母に預けていたし、一郎くんは大金を持つのを怖がられていたからおばさんに没収されていた。
「そして……隼人! 鷹音! 一郎! 3人にはプレゼントがある!」
「マジすか?」
「やったー!」
祖父がくれたのはまだ聞いたことのない怪談が詰まった夢のようなCD。鷹音ちゃんには赤色の手帳。一郎くんには最新のゲーム機。
「あんまり子供たちを甘やかさないでよ〜、お父さん」
「何を言うかァっ。恵津子っ! 子供っていうのは甘やかすもんだ! 甘やかされて、時には厳しく! それがベストなんだぁっ」
「なら鳩汰にも何か渡してあげなさいよ」
「鳩汰は実験場を貸してやっとる!」
それを聞いて、鳩汰兄ちゃんは「やべっ」と声を漏らして、立ち上がった。
「鳩汰! またおじいちゃんから土地を!? 持て余すんだから! 穴ボコにするだけだし!」
「違うよ母さん、ガジェットを作ってるんだ。もしかしたら人類の技術力を進歩させるかもしれない大いなる研究なんだ。多少土地が変わるのは代償なんだ」
鳩汰兄ちゃんは情熱に生きる人だ。俺にはそこまでの情熱を何かに注いだことがあったろうか? わからない。俺は何もわからない。おれはなにも……。
「隼人お兄ちゃん? どうしたの?」
「ん? ……いや、なんでもないよ」
鷹音ちゃんが首を傾げるところに、微笑みかける。
「すこし、鳩汰兄ちゃんの発明が気になっただけ」




