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空想怪奇ラフ  作者: 蟹谷梅次
空想怪奇ラフ 呪縛箱
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第46話 呪縛箱 7

 ナナシはある程度狩り尽くしたため、師匠が居ると思われる岩手山神社奥宮に向かうためにキャンプ場を突っ切っていると、大きな地響きが巻き起こった。少し後に発生した衝撃波に吹き飛んで転がると、師匠の声があった。師匠は腕の集合体に跨っていた。全身を強化筋肉で包み始めていた。変身している。


「隼人くん。逃げろっ……」

「師匠!」


 赤いロープが俺たちを掴むと、ぐんと空を飛んだ。その赤いロープはシラキさんとアサオカさんの腕から生えていた。


「しわがれた老人に心当たりは!?」


 アサオカさんが言った。


「無い」

「無い」


 一郎くんと弾くんが口を揃えて言った。


「しわがれた老人……あります。不気味だったからおばけアーカイブに加えておいてよかった。家の裏の……畦道で見ました」

「滝くんに接触してたんだ」

「おばけの話題スか。俺、蚊帳の外スよ」

「『みなぶね』っていう……架空の神がいるんです。実在しない神だが……それを信仰している集団も居る」

「また黒申教タイプだら?」

「そのようだね」


 隼人ゎ人間ゎ好きだけどカルトゎ嫌い。みんなあるものだけ崇めて生きようね。


「しわがれた老人はそこの信者?」

「教祖だ」

「教祖! フットワークの軽い教祖だな」


 ピカン、と赤い煌めきが走る。


「俺も混ざるぜ」

「駄目です」

「あァ?」

「滝くんはまだあれに敵わない」

「ラハナー値の個人限界を簡単にオーバーしてる。君じゃ勝てない。唯一敵うとしたらエクストラムマン──……祓い屋X──……千葉元康──……彼だけだ」

「彼が人類の味方でよかった」

「あの人人間の敵とかいつも言ってますよ」

「風見由花子の真似ですよ。彼は中学教師です」

「風見さんって」

「あの女は……本当に厄介な人だった『平成初期すべての怪異事件は風見由花子に通じている』と言われるほどだった」


 アサオカさんが言うと、シラキさんがぼそっと呟く。


「あんな事をされりゃ闇にも堕ちるさ」


 あんな事……?


「ともかく……我々がここにいることで生じる物はデメリット。なるべく遠くへ……」

「そのカルト宗教っていうのは」

「出来れば全員逮捕が好ましいですが……」

「なるほど!」


 俺は霊力を伸ばし、シラキさん・アサオカさん・一郎くん・弾くんの死角にいた妙齢の女を捕まえ、なるべく木に打ち付けながら俺たちの足元に叩き落とした。


「こいつは信者か?」

「はいっ、ああっ、まさしくっ」


 女は忌々しい様に「気付いていたか」と吐き捨てた。

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