第45話 呪縛箱 6
俺 96体目でギブアップ 1分52秒
一郎くん 108体目でギブアップ 2分24秒
弾くん 285体目でギブアップ 3分30秒
「よォ、ザコ」
「体力ないな、ザコ」
「くゥっ…………!」
この3人の中ではどうやら俺が一番弱いのだそうだ。しかし、俺は一郎くんのように喧嘩に慣れているというわけでも、弾くんのように学習能力に長けており武道の心得が有るわけでもない。
「身体鍛えろよ」
「あっ、でも俺はエクストラムマンになることが確定しているが……? 2人にはできない『変身』をする事ができるという、アドバンテージが確定しているが……?」
「こいつそれはズルだろ」
「貰い物の力で意気がるなバカタレ……!」
そうこうしていると、山猫さんがやってきた。
「持ってきました!」
「あっ! それって武器!?」
山猫さんはアタッシュケースを持っていた。
「さすがに子供に素手で怪異と戦わせるのは私の良心が痛むんでぇ。これ使ってけろ!」
アタッシュケースには3人分の装備が入っていた。赤いレザーグローブと赤いブーツ。
「アフリカ製のクレマン値増強グローブとブーツです。身体能力の向上にも使えます」
「ヒューッ! ありがたい! ありがとうございます!」
「隼人のザコに箔が付くって訳だ。ありがとうございます」
「かっこいいね。山猫さん、ありがとうございます」
山猫さんはニッコリと微笑むと、あたりを見回して、ため息のようなものを吐き出した。
「しかし、驚きだぁ。3人みたいな子供が短時間でこげな戦果をあげるなんて」
「普通じゃないんですか」
「アリみたいにいっぱい居る分弱いんだよな」
「普通……ナナシって1体を3人で倒して所要時間30分程だと思うんですけど」
「じゃあ普通を更新できるいい機会でしたね。あなたの知る祓い屋はみんな無能ってことだ」
弾くんがそう言った。
煽るなバカタレ……!
「でもXさんは100体まとめて2秒ほどです」
「俺たちはその人の弟子です」
「ある意味、説得力が増したな」
俺たちはどうやら通常より遥かに強いらしい。山猫さんが言っている「祓い屋」というのはおそらく成人している祓い屋の事だろうし。もしかして俺たちは才能の塊なのかもしれない。
「山猫さん。今回は本当にありがとうございます。もし大きくなったら祓い屋としてあんたの頼みなら何でも聞くよ」
「そりゃありがたい!」




